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葬儀を行った後、自宅に遺骨や遺影を飾るとき、多くの人は「後飾り祭壇」を葬儀社から購入して使用します。
この後飾り祭壇は四十九日法要が終わったら解体し、処分するケースがほとんどですが、ずっと使い続けても構いません。
後飾り祭壇の意味や使用期間、使用する際の注意点、処分の仕方などについて解説します。
後飾り祭壇とは、葬儀が終わった後、遺骨や遺影、位牌を一時安置してお供えをするための祭壇です。
木でできていることはまれで、ほとんどの場合は白い段ボールで作られており、白い布を被せて利用します。
段ボールに白い布をかけた祭壇は、かなり簡素な姿です。
しかし、この簡素さが「まさか亡くなるとは思わず、取り急ぎ簡素な祭壇を作った」というメッセージになるとされています。
黒塗りの立派な祭壇を使っては、まるで不幸を予見し、前もって準備していたかのようだからです。
自宅に仏壇がある場合でも、葬儀後しばらくはこの後飾り祭壇を使い、ご先祖様と分けて供養します。
なぜなら、亡くなってから日にちの経たない故人はまだ「仏様」になれておらず、霊としてこの世をさまよっている存在なので、仏様として仏壇にまつってはならないという考え方があるためです。
後飾り祭壇を使うのは、四十九日法要までとされています。
四十九日法要の日には納骨を済ませ、後飾り祭壇を処分し、故人の位牌や小さな遺影を仏壇へ安置します。
大きな遺影は、他のご先祖様の遺影と並べて、壁などに掛けられる場合もあります。
これは、亡くなって49日を過ぎると故人の霊はさまようのをやめ、仏の世界へ行くとされているためです。
仏となった故人の位牌は仏壇におさまり、やっと「ご先祖様」の仲間入りができます。
以上のように、後飾り祭壇は多くの場合、四十九日法要をめどに片づけるものですが、「49日を過ぎたら使ってはならない」というものではありません。
いつまで使っても良いものです。
例えば以下のような場合は、後飾り祭壇があると便利です。
四十九日法要までに仏壇が届かなくても、法要自体を後飾り祭壇で行うことは可能です。
自宅ではなく、法要会館で法要を行うという方法もあります。
自宅で法要を営む場合は、菩提寺などに、後飾り祭壇を使いたいと相談しましょう。
亡くなってからお墓を注文した場合はとくに、四十九日法要までにお墓が完成しないことがあります。
仏壇へ遺骨をまつることもできますが、かなり存在感があるため、後飾り祭壇を使えば無理なく遺骨を安置できます。
四十九日法要を迎えても、納骨にためらいがあり「いつまでも故人とともにいたい」と感じる人もいるでしょう。
後飾り祭壇があれば、心の整理がつくまで遺骨を安置できます。
仏壇を購入しないと決めた場合、後飾り祭壇を利用すれば、いつまでもゆったりと故人の遺影や位牌を安置できます。
故人が亡くなって49日目以降に、初めて迎えるお盆を「新盆」といいます。
新盆では、故人の位牌や遺影を仏壇からいったん取り出し、特別に祭壇を設けてまつる必要があります。
後飾り祭壇を処分せず保管しておくと、新盆用の祭壇として利用することもできます。
飾り付けは、地域の初盆飾りを参考に行いましょう。
後飾り祭壇に使われているのは、段ボールです。
ある程度の強度を持つものが使われてはいますが、やはり水に弱く、あまり重いものを載せるとへこんでしまう可能性があります。
49日を過ぎても後飾り祭壇を使いたい場合は、なるべく長く使えるよう、以下に注意しましょう。
特に果物など水分が多いお供え物は、段ボールが傷む原因になりかねません。
また、じかに祭壇へ置くことで布を汚してしまったり、匂いが付いてしまったりする可能性があります。
お供え物の下には、必ずお盆やお皿を敷きましょう。
故人へのお供えとして、水やお茶を用意したい人もいることでしょう。
水をこぼしてしまうと、段ボールの強度が落ちる可能性があります。
なるべく、祭壇の手前にテーブルを置き、そこへお供えするようにしましょう。
後飾り祭壇のロウソク立てが倒れると、布や段ボールに火が移り、火災になってしまうおそれがあります。
ロウソクに火をつけるのはお参りのときだけにしましょう。
線香立ての周囲は、灰で汚れる可能性が高い場所です。
後飾り祭壇に線香立てを置く場合は、必ずお盆を敷きましょう。
誤って陰膳をひっくり返すと、布や段ボールが汚れ、臭いがなかなか取れなくなってしまいます。
陰膳を供えるとき、下げるときは慎重に行いましょう。
役目を終えた後飾り壇を、どのように処分すれば良いか分からないという人もいるでしょう。
祈りに使う祭壇ではありますが、後飾り壇には魂が込められていないとされています。
よって、自治体の処分方法に従って処分して構いません。
もしどうしても処分ができないと悩む場合は、葬儀を依頼した葬儀社に電話して事情を話し、引き取ってもらいましょう。
49日目までなら、無料で引き取りに来てくれる葬儀社もあります。
お葬式で帰省をすると、「旅行で有給休暇を取ったときは職場にお土産を買うけれど、今回も買うべき?」と悩むことがあります。
遠方への葬式で仕事を休むのは、不幸のためやむないことであり、遊びに行くわけではないのでお土産を買う必要はありません。
ただし突然仕事を抜けたことに対するお詫びはするべきであり、それは言葉だけでも十分伝わりますが、そのために品物を用意するのも良いでしょう。
それでも「葬式帰省の土産なんて縁起が悪い?」と悩む人のために、忌引き明けのお礼について、一定のマナーをご紹介します。
まず、葬式帰省では、お土産を買う「必要」はありません。
葬式で帰省したら、お土産を買っていかなければならないというマナーはありません。
不幸は突然のことであり、大切な人を亡くすため精神的なダメージが大きい出来事です。
例えば職場に「休暇を取ったらお土産を買う」という慣習があるとします。
しかし、葬式帰省の最中、お土産を買うことに思い至らなくても、またその時間がなくても、それをもってあなたを責める人はいません。
皆、心情を分かってくれます。
友人同士ならなおさらです。
もし職場に「休暇を取ったらお土産を買う」という慣習がなければ、葬式帰省のお土産を買うことはやめておいた方がいいかもしれません。
今回のことで前例を作ると、次に不幸のあった人も、お土産を買わなければならない雰囲気ができてしまうためです。
ただ、一部の人にかなり負担をかけてしまったなど、どうしてもお礼をしたい人には、個別にお土産を買っていっても構わないでしょう。
「本当に助かりました、ありがとう」とお礼の言葉を添えて渡します。
「葬式で帰省したときのお土産なんて、縁起が悪くて嫌という人もいるかも」という考えが頭をよぎるかもしれません。
しかし、そこに嫌悪感を覚える人は、少数と言っていいでしょう。
例えば、忌引き明けに職場へお菓子を配るのは、実際によくあることだからです。
もしかしたら「お土産」という表現が良くないのかもしれません。
「お土産」というと、旅行などへ行ったとき、楽しい思い出をお裾分けする品として選ぶイメージがあります。
なんとなく、ポジティブなイメージを持った表現です。
「葬式」と「お土産」のイメージのギャップに違和感があるという人もいるのではないでしょうか。
葬式帰省のとき「皆に何か買って帰らなければ」と思うのは、葬式の思い出を共有したいからではないでしょう。
急に仕事を抜けたことに対するお詫びや、感謝のしるしとして買うのですから、「お土産」ではなく「お礼の品」「お詫びの品」と考えるのはいかがでしょうか。
ただ、葬式を直接連想させる品物を敬遠する人はいるかもしれません。
もし気になるようなら、葬式で配られたお菓子をそのまま持って行ったり、香典返しをそのままお礼として渡したりするのは、やめておきましょう。

葬式帰省のお土産を買う必要はありませんが、香典返しは必要です。
もし職場や得意先、友人から香典を頂いており、葬式で香典返しを渡せなかったなら、忌引き明けから四十九日までの間に香典返しを用意しましょう。
香典返しは、頂いた金額の半額程度の品物を用意するのが一般的です。
葬式のとき参列者へ配ったお返しものが、金額的に妥当であれば、そのお返しもので構いません。
ただ、職場から連名で香典を頂く場合は、1人あたりへのお返しが少額になることがあります。
その場合は、個包装のお菓子などを別に購入して用意するのも良いですし、急なことですから、後日手配しても全く問題ありません。
得意先から高額な香典を頂いた場合は、できれば得意先へ伺う日にちに間に合うよう、香典返しを用意しましょう。
余裕があったら帰省先で品物を選び、「志」の掛け紙をかけてもらうのがベストです。
余裕がない場合は葬儀社に相談するか、インターネットのギフトショップで手配するのが安心です。
なかには、職場から香典を頂き、香典返しを持っていくため「お土産はいらない?」と悩む人もいるでしょう。
職場全体から連名で香典を頂き、香典返しを皆に配る場合は、お土産はいらないでしょう。
香典返しの上にお土産を配ったら、職場の人たちはかえって恐縮してしまうかもしれません。
しかし上司など一部の人から香典を頂いた場合は、その人への香典返しの他に、お土産があってもいいかもしれません。
とくに、急な忌引きのため仕事で負担をかけた人には行き渡るようにしたいものです。
葬式帰省のお土産を買うときは、以下に気をつけましょう。
配りやすく、また食べやすいよう、個包装になったお菓子を選びます。
香典返しには「志」の掛け紙をかけますが、お土産には掛け紙をかけません。
葬式のお返しものではなく、仕事を抜けたことに対するお詫びやお礼を表す品だからです。
個包装のお菓子なら、1つあたり200~300円程度のもので十分です。
あまりに高価なお土産は、「次に自分に不幸があったら同じようにしなければならない」と相手に思わせてしまうので避けましょう。
葬式帰省のお土産は、職場であれば忌明け後、初めて出社したときに渡しましょう。
朝礼等があればベストですが、朝にみんなが集まる機会がなければ、ランチなどの休憩時に声をかけるのが一般的です。
どんなタイミングがベストか、上司に相談するのも良い方法です。
友人であれば、帰省から戻って初めて会ったときに手渡しましょう。
「葬式で遠出したことによるお土産」ではなく、「仕事で穴を開けたことへのお詫び」「対応してくれたことへの感謝」を伝えながら渡しましょう。
友人に手渡す場合も、「葬式帰省のお土産」と口に出す必要はありません。
【職場に葬式帰省のお土産を渡すときの挨拶例】
このたびは突然、お仕事を抜けてしまい誠に申し訳ありませんでした。
急なことにもかかわらず、快くフォローをお引き受けくださった皆さんに、ささやかながら感謝の気持ちをお配りします。
仕事の遅れを取り戻すよう、精一杯頑張りますので、今後もどうぞよろしくお願いします。
【友人に葬式帰省のお土産を渡すときかける言葉】
「地元のものだけど、良かったら食べてね」
「この前はバタバタしていて、予定をキャンセルしちゃってごめんね。これ、良かったら」
以上、葬式帰省のお土産マナーについて解説しました。
葬式帰省は旅行ではないので、「お土産」を買う必要はありません。
しかし、誰かに感謝の気持ちを伝えたいときは、そのしるしとして「お礼の品」を買いましょう。
そして、品物は「感謝のしるし」にすぎません。
必ず、感謝の言葉をかけることを大切にしましょう。
「本当にお世話になった」と感じ、また少しなりとも心に余裕があるなら、「今回はありがとうございました」とメッセージをしたためた手紙や付箋を添えて、品物を渡すのもおすすめです。
死産となった赤ちゃんも、この世に生を受けた人と同様に供養できます。
「あの子がお腹にいてくれたことをずっと忘れないでいたい」
「死産を経験した後、気持ちのよりどころとなる何かがほしい」
そう考えている方に向けて、死産となった赤ちゃんの葬儀をした後にどのような供養をしたらよいかを解説します。
最後には、悲しみに暮れる両親の心のケアを行う方法についても書いているので、ぜひ参考にしてください。
妊娠12週以降に流産や死産をした場合、日本では赤ちゃんを火葬することが求められています。
多くの人は火葬のみを行いますが、しっかりした葬儀を行う人もいます。
ただ、火葬炉の構造上、胎児の遺骨を残して火葬するのは簡単ではありません。
胎児用の火葬炉を設けている火葬場もありますが、数が少ないため利用できる人は少ないでしょう。
なるべく遺骨を遺して火葬するようお願いしても、難しい場合は多々あります。
遺骨を遺すことができなくても、死産となった赤ちゃんの供養は可能です。
遺灰を骨壺に納めたり、赤ちゃんがまだ火葬にならないうちに病院にお願いして、あるいは両親自ら、爪や髪、手形、足形を残しておくと、後の供養に使えます。
もし爪や髪、手形などを遺せなかった場合には、エコー写真で供養をすることも可能です。
まずは、供養の対象にできるものを探しましょう。
赤ちゃんの状態や病院の方針によっては、爪や髪、手形、足形を残せないことがあります。
また、エコー写真も残っていないという人もいるでしょう。
そんなときであっても、供養ができないわけではありません。
例えば献体を希望している人の場合、亡くなったら大学病院などへ遺体が預けられてしまい、数年は遺族の手に遺骨が戻りません。
遺族は、遺体がないまま葬儀や供養を行います。
故人の爪や髪を遺して供養する人ももちろんいますが、位牌だけで葬儀や供養を行う人もいます。
僧侶が葬儀で儀式を行い、魂を込めた位牌をよりどころにして、その後の供養を行っていくのです。
死産となった赤ちゃんの形見が何も残っていないなら、よりどころになるものを新たに作りましょう。
以下のようなものが挙げられます。
赤ちゃんのために準備していた名前があったら、その名前をモチーフにしたものを作りましょう。
名前をしたためた紙を入れた額縁、名入れのオブジェ、ペンダントトップや指輪の裏側に名前を刻んだジュエリーなどです。
位牌を作ることもできます。
ただし、菩提寺に依頼できるかどうかは、お寺の方針にもよりますので、まずは相談してみましょう。
この世に生を受けず亡くなった赤ちゃんは、エンジェルになぞらえられることがよくあります。
天使のぬいぐるみやオブジェ、天使をモチーフにしたジュエリーなどを用意すると、赤ちゃんを感じさせるものとして愛着が湧くでしょう。
帽子や靴下、おもちゃなど、赤ちゃんのために準備していたものはないでしょうか。
もしそれを見たときに死産となった赤ちゃんを強く思わせるようであれば、どのようなものでも供養の対象にすることが可能です。
ぜひ、自分にとってしっくり馴染むものを探してみてください。
死産となった赤ちゃんの供養方法には、大きく分けて以下の3つがあります。
3つ全てを行うことも可能です。
毎日そこへ向かって祈りを捧げられるような、小さなステージを作ります。
髪や爪が残っていれば小さな骨壺へそれを納め、手形や足形、エコー写真は額縁などに入れてステージに飾りましょう。
ほか、前章に示したように、両親が「これを供養の対象にする」と決めたものであれば何でも祀ることができます。
ステージには水や供物を捧げたり、お祈りをしたりして供養しましょう。
「ミニ仏壇」で検索すると、仏壇型からステージ型まで、様々なタイプのものがインターネット通版で販売されています。
気に入ったものを購入するのも、手作りのステージとするのも自由です。
大事な人の遺灰などを込めたペンダントや指輪を、メモリアルジュエリーと呼びます。
遺髪や爪を込めることも可能です。
前章に示したように、とくに何も残っていない場合であっても、名前を刻んだり天使をモチーフにしたジュエリーを選んだりして、供養の対象とすることができます。
メモリアルジュエリーを作れば、肌身離さず持ち歩けます。
ずっと、赤ちゃんと一緒です。
何らかの事情で家の中に祈りのステージを作れない人にも向いています。
流産、死産してしまった赤ちゃんの供養を、日本では昔から「水子供養」といいます。
お寺に水子供養を申し込み、寺院内にある水子地蔵のそばへ塔婆を立て、読経してもらいます。
この水子供養は、何回でも行うことが可能です。
四十九日や一周忌などの節目に関わらず、悲しさや辛さを感じたらいつでも供養を申し込むことができます。
そのとき、辛い気持ちをご住職に聞いてもらうこともできるでしょう。

死産となった赤ちゃんの供養をすることは、両親の悲しみを癒すための大事なセルフケアです。
しかし、心を込めて供養をしていても、ときにどうしようもない悲しみ、辛さ、悔しさ、やりきれなさを感じて苦しくなるときがあります。
そんなときどうしたらよいか、3つのヒントをお伝えします。
死産を経験すると、周りから「いつまでも悲しんでないで」
「今回は残念だったけど、また頑張ろう」などと、前向きになるよう促されることがあります。
すると、本当は悲しい自分の気持ちに蓋をして、頑張って明るく振る舞ってしまうかもしれません。
しかし、自分の気持ちを否定したままでいると、苦しい気持ちが長く続いてしまう恐れがあります。
自分の悲しい気持ちに、正直になりましょう。ときには思い切り泣くなど、自分の感情を受け止められる場所と時間を作ります。
辛い気持ちを紙に書き出すと、頭の中が整理されることがあります。
また、自分の状態を客観的に受け止めることが可能になります。
辛くなったら、自分の想いを日記に書いてみてはいかがでしょうか。
ときどき日記を振り返ると、自分の気持ちの変化がよく分かります。
「このときは、こんな風に考えていたんだ」と改めて自分を理解することで、過去の自分を受け止められるでしょう。
また、「命日が近くなると悲しみが深くなる」など、気持ちの傾向をつかむことも可能になります。
同じように死産で赤ちゃんを亡くした人たちが集まる会が近くにあれば、参加してみましょう。
同じ体験をした人たちが感情や情報を分かち合う会を「自助会」「自助グループ」といいます。
市役所の福祉課で尋ねたり、役所や図書館のチラシコーナーを覗いてみたりすると、情報が集まります。
喪失感を乗り越えて行くには、周囲のサポートも欠かせません。
ただ、周りの人も「どう声をかけてよいか分からない」と迷い、腫れ物に触るように接したり、死産などなかったかのように接したりと、話題を避けてしまうケースがよく見られます。
周囲の人に必要なのは、「辛いときはいつでも話を聞くよ」
「あなたにとって大切だった存在のことを忘れていないよ」という姿勢です。
どう声をかけてよいか分からないのであれば、そのままストレートに「どう声をかけてよいか分からないけど、私で良ければいつでも頼ってね」と伝えましょう。
やむを得ず葬儀に参列できないときは、後日香典を渡すことで弔意を伝えることができます。
香典を直接渡すことができないなら、現金書留で郵送するという手もあります。
香典の渡し方、送り方にはマナーがあるため、事前によく理解しておくのがおすすめです。
儀に参列できない場合の香典の渡し方やマナーについて解説します。
最近は親族を中心とした小規模な家族葬が増えたこともあり、香典を辞退するケースがみられます。
香典を辞退している遺族に、香典を渡すのはマナー違反です。
まずは、葬儀の案内などを確認して「香典の儀はご遠慮ください」
「香典の儀は辞退いたします」といった文言がないか、確認しましょう。
香典はなるべく早めに渡すのがマナーです。
亡くなってすぐに訃報を受けていたなら、遅くとも亡くなって49日目までに香典を渡すのが良いとされています。
多くの遺族は、四十九日法要までにいただいた香典に対し、まとめて香典返しの準備をするからです。
もっとも、49日を過ぎてから訃報を知る場合もあるでしょう。
その場合は、49日にこだわらず、なるべく早めに香典を渡せばそれで良いとされています。
49日を過ぎたら香典を受け付けないわけではありません。
なるべく早く香典を遺族の手元に届けるとして、直接渡すことが可能か、もしくは現金書留を手配した方が良いかを考えましょう。
「手渡し」がおすすめの人、「現金書留」がおすすめの人は、それぞれ以下の通りです。
〈香典を直接渡すのがおすすめの人〉
・遺族が同じ職場で働いているなどで、毎日顔を合わせる人
・遺族宅が近く、訪問が過度な負担にならない人
・血縁が濃いにもかかわらず、葬儀を欠席してしまった人
・故人の遺影に手を合わせたい人
・遺族に直接会ってなぐさめたい人
〈香典を現金書留で送るのがおすすめの人〉
・遺族宅が遠方の人
・故人とは親しかったが遺族とは面識がないなど、弔問が双方の負担になりそうな人
・入院中などの都合によりしばらく弔問できない人
香典を直接渡す場合でも、現金書留で送る場合でも、香典の表書きのマナーは同じです。
表書きとは、香典袋の上部中央に書く言葉のことをいい、宗派によって書く言葉が違います。
49日目までの香典には、浄土真宗以外であれば「御霊前」と書きます。
浄土真宗であれば「御仏前」です。
どんな宗派かが分からないなら、「御香典」と書きましょう。
「御霊前」とは、「故人の霊の前にお供えする」という意味です。
日本の仏教では、浄土真宗以外の宗派は「亡くなってから49日目までは、故人は霊となってあの世とこの世をさまよっている」とされます。
よって「霊」を使うのです。
「御仏前」とは、「仏様の前にお供えする」という意味です。
浄土真宗では、故人の魂は霊となってさまようことなく、すぐに成仏するとされます。
よって「仏」を使います。
なお、浄土真宗以外の宗派では、49日を過ぎて初めて「霊」は「仏」になるとされるため、四十九日法要以後、香典の表書きは「御仏前」に切り替わります。
香典を直接渡すと決めたら、以下の6つのマナーに気をつけましょう。
職場や学校で香典を手渡しするのではなく、遺族宅へ弔問する場合は、必ず事前に連絡して弔問の日時を決めましょう。
弔問に伺うときは、男性は地味な色味のスーツ、女性はワンピースやスーツとしましょう。
喪服を着る必要はありませんが、ジーンズなどの普段着は良くありません。
「改まった場に出かける服」を意識しつつ、華やかな明るい色味の服を選ばないよう気をつけます。
持ち物は香典、香典を入れる袱紗、数珠です。
仏式葬儀でなかったことが分かっている場合は、数珠は必要ありません。
遺族宅に到着したら、まずは「このたびはお悔やみ申し上げます」と述べ、その後に「葬儀に参列できず、申し訳ありませんでした」とお詫びしましょう。
家に通されたら「まずはお参りさせてください」と言い、故人の遺骨や遺影が飾られている祭壇へ案内してもらいましょう。
座布団の前で一度お辞儀をしてから、座布団へ座ります。
お線香が用意されている場合は、1本に火を灯し、香炉に立てて手を合わせます。
このとき、数珠を左手にかけて祈りましょう。
縦長で箱型の香炉がある場合は、そこへ線香を横に寝かせます。
お参りが済んだら、故人の遺影に一礼して遺族の方を向きます。
「こちら、御霊前(御仏前)へお供えください」と、袱紗から香典を出しましょう。
多くの場合、自分で祭壇へ供えるよう遺族から促されるため、香炉が置いてある台に黒いお盆が置いてあればその上へ、なければ香炉の台か祭壇上の空いているところへお供えします。
遺族が友人である場合など、話が尽きない場合もあるかもしれません。
しかし、弔問は手短に済ませるのがマナーです。
30分から、長くても1時間程度で切り上げましょう。

香典を送るときのマナーは、以下の2つです。
現金をそのまま郵送したり、宅配便を使って送ったりすることは禁じられています。
必ず、郵便局の現金書留で送りましょう。現金書留の封筒は、郵便局で売られています。
香典を郵便局に持参し、現金書留用の封筒を購入して、必要事項を書き入れた上で窓口へ出しましょう。
封筒には押印する箇所があるため、三文判を持参します。
ハンコを忘れた場合、署名でも可能です。
現金書留の封筒には、香典だけでなくお悔やみの手紙を入れるのがマナーです。
お悔やみの手紙は、2枚以上になると「不幸が重なる」ことを連想させるため、1枚にとどめましょう。
お悔やみの言葉を述べた上で葬儀に参列できなかったことを詫び、遺族をいたわる気持ちを示して簡潔に弔意を表します。
お悔やみの手紙は、薄墨の毛筆や筆ペンで書くのが正式なマナーとされますが、使い慣れない場合は万年筆やボールペンでも構いません。
心を込めて、ゆっくり丁寧に手書きするのが大事です。
最後に、お悔やみの手紙の文例をご紹介します。
あまり長くなりすぎず、短くまとめるのがマナーを守るコツです。
自分にとって、故人と近しくしていたときと、故人ではなく遺族とお付き合いしているときとでは、文面が少し違います。
それぞれ紹介します。
【故人と近しくしていたとき】
○○様のご逝去の報に接し、大変驚いております。
昨年、ゴルフでご一緒したときはお元気だったのにと思うと、言葉もありません。
ご家族の皆様のご心痛はいかばかりでしょう。
本来であればご葬儀に伺うべきところでしたが、遠方につき叶わず、誠に申し訳ありません。
心ばかりのものを同封いたしましたので、どうかご霊前にお供えください。
○○様のご冥福を、心よりお祈り申し上げます。
【遺族とお付き合いしているとき】
ご尊父様(ご母堂様)のご逝去を悼み、心よりお悔やみ申し上げます。
事情により、ご葬儀への参列が叶わなかったことをお許しください。
ご家族の皆様の悲しみはいかばかりかと、お察し申し上げます。
どうか体調を崩されませんよう、くれぐれもご自愛ください。
本来であれば、すぐにでも伺ってお悔やみを申し上げたいところですが、まずは書中にてお悔やみを申し上げます。
なお、心ばかりのものを同封いたしました。ご霊前にお供えくださいますよう、どうぞよろしくお願いします。
妊娠12週以降に流産や死産となったら、火葬をする必要があります。
悲しみの中、手続きを進めるのはとても辛いものです。
多くの人は葬儀社の手を借り、赤ちゃんを見送ります。
「死産した赤ちゃんのために、しっかり葬儀を行うべき?」
「なるべくゆっくり見送りをしたい」といった疑問や希望をお持ちの方のために、死産となってから火葬に至るまでのプロセスをご案内します。
お腹の中で亡くなった赤ちゃんでも、火葬が必要な場合があります。
妊娠12週以降の流産、死産は、死産届を出し、火葬を行わなければなりません。
また、妊娠24週以降の死産であった場合は、24時間を過ぎてから火葬をしなければなりません。
死産届は死産があってから7日以内に、病院の所在地か両親の所在地である市区町村役所に提出します。
死産届を提出すると「火葬埋葬許可証」が発行され、火葬ができるようになります。
死産と流産の違いについては下記の記事でも詳しくご紹介させていただいています。
興味のある方は合わせてご覧ください。
死産となった後、すぐに火葬の手続きを行う必要はありません。
無事に生まれてくることを願っていた命を突然亡くした両親の多くは、気持ちの整理がつかないことでしょう。
赤ちゃんの状態にもよりますが、死産であっても通常の出産と変わらない、あるいは思い出に残るような工夫をしてくれる病院があります。
赤ちゃんを抱っこしたり、添い寝したり、一緒に写真を撮ったり、へその緒や髪の毛、爪を保管してくれたり……。
とくにへその緒や髪の毛、爪の保管は、供養に役立つことがあります。
後にも述べますが、死産であった赤ちゃんの遺骨を残して火葬するのは難しいためです。
手形や足形も、取れる状態であれば取っておくのがおすすめです。
お母さんの体調が少し戻ったら、赤ちゃんが確かにお腹の中にいてくれたことを実感できるような何らかのケアをしてもらえないか、病院のスタッフに頼んでみましょう。
死産となった赤ちゃんの見送り方には、以下の3つのパターンがあります。
最も多いのがこのパターンです。
棺や骨壺など必要なものを葬儀社に依頼し、葬儀社のアドバイスを受けながら火葬のみを行います。
費用相場はおおよそ5万円〜8万円程度です。
「この世に生を受けられなかった赤ちゃんであっても、しっかり見送りたい」と希望する場合は、葬儀を行うこともあります。
葬儀社に相談して式場を手配してもらい、身内を中心とした小さな葬儀を行います。
胎児の葬儀自体が珍しいので費用相場はありませんが、20~30万円程度とみておけばよいでしょう。
僧侶に読経を依頼する場合は別途お布施が必要です。
死産した赤ちゃんの見送りに最低限必要なのは、「棺」「火葬場の手配」「火葬場まで赤ちゃんを運ぶ車」です。
これらは家族が手配することも可能です。
インターネット通販などで赤ちゃん用の棺を買い、お父さんやお母さんが火葬場に予約連絡を入れ、火葬場までは家族が車を運転します。
病院によっては棺を用意してくれるところもありますので、相談してみると良いでしょう。
費用は、利用する火葬場の料金にもよりますが、全部で3~5万円程度に収まることが多いでしょう。

火葬のみを行うときも、葬儀と火葬を行うときも、全体の流れはおおよそ同じです。
死産となってから火葬するまで、一連の流れをご案内します。
お母さんの体調が少し落ち着いたところで、家族みんなで以下について話し合いましょう。
*火葬のみとするか、葬儀も行いたいか
*火葬はどのタイミングが良いか
*棺や骨壺などの必要品は葬儀社に依頼するか、それとも自分たちで手配するか
話し合いの結果を、依頼する葬儀社へ伝えます。
死産となった後、医師から死産証書(死胎検案書)が渡されます。
死産証書の左側が死産届になっており、死産があってから7日目までに市区町村の役所へお父さん(またはお母さん)が届け出ます。
葬儀社が代行することも可能です。
死産した赤ちゃんは、お母さんの退院まで病院に安置されます。
お母さんが退院したら、自宅へ連れて帰る場合と、葬儀社の安置室などで安置する場合があります。
自宅安置の場合は、葬儀社に火葬までの接し方を相談しましょう。
場合によってはドライアイスが必要になることもあります。
葬儀社と葬儀や火葬の日程を打ち合わせ、火葬場の予約や棺の手配を行ってもらいましょう。
必要品を自分で手配する場合は、棺を手に入れます。
胎児用の棺は、病院で支給してくれるところもありますが、それができない場合は、インターネット通販などで販売されており、紙製の箱や段ボールで自作することも可能です。
通販で手に入れる場合は、火葬日程に間に合うよう注意します。
また、火葬場へ予約を入れます。
赤ちゃんの火葬では、遺骨が残らない場合も少なからずあります。
もし赤ちゃんの遺骨を残したい場合には、予約時に火葬場へ相談しましょう。
朝一番の火葬はまだ炉が熱くなっていないため、遺骨が残る可能性が高くなります。
火葬の前に葬儀を行いたい場合は、火葬予約時間の2~3時間前に葬儀を行います。
火葬の前日までに葬儀を済ませることもあります。
葬儀の形式は、お別れの手紙を読むなどを中心とした無宗教葬や、僧侶が読経する昔ながらの仏式葬儀など、家族の希望に沿って行えます。
ただし、いつもお世話になっているお寺が胎児の葬儀も行ってくれるかどうかは、相談してみないと分かりません。
多くのお寺は、お引き受けくださるはずです。
火葬予約時間に間に合うよう、火葬場に向かって出発します。
これを「出棺」といいます。
出棺前には、棺を開けて最後のお別れをするのがおすすめです。
ただし、家族の体調や気持ち、赤ちゃんの状態によっては、棺を開けずにお別れをすることもあります。
お別れの時間では、赤ちゃんの体のまわりにお花を入れてあげます。
また、赤ちゃんのために準備していた帽子、靴下、布製おもちゃなど、少量の燃えるものであれば棺に入れることが可能です。
火葬後、遺骨を骨壺に納めます。
もし遺骨が形としては残っていなくても、遺灰を納められる場合があります。
火葬後、一般的な葬儀のように参列者が集まって会食をとることもあります。
会食を行うかどうかは、家族の判断で構いません。
会食を行う場合は、会場を事前に予約しておくとスムーズです。
葬儀式場で葬儀を行う場合は、式場内の会食会場を使うことができます。
一般的な葬儀の場合は喪服を着用しますが、死産した赤ちゃんの葬儀、火葬では、平服でもよいとされています。
平服とは、喪服ではないけれどカジュアルすぎない、改まった服装です。
黒や紺、グレーなど落ち着いた色味のスーツを着用し、ネクタイやベルト、靴下、靴といった小物も落ち着いた色にします。
ワイシャツは白です。
服も小物も、光沢のある素材を避けましょう。
黒や紺、グレーなど落ち着いた色味のワンピースに、同系色のジャケットやカーディガンを羽織ります。
ストッキングの色は黒がよいとされていますが、ベージュでも構いません。
落ち着いた色味のスーツも着用できますが、とくにお母さんはお腹にゆとりを持たせた服装にしましょう。
靴やバッグなどの小物も、落ち着いた色味のものにします。
化粧はラメなど光沢の入っていないメイク用品を使い、薄目に仕上げましょう。
髪は後ろで一つに束ねます。
なお、家族の話し合いにより喪服で参列することも可能です。
平服であれ、喪服であれ、方針が決まったら参列者全員に共有しましょう。
この世に生を受けることがなかった赤ちゃんの見送りは、家族が本当に納得する形でできたかどうかによって、その後の気持ちが違ってきます。
「かわいそうで、姿を見るのも辛い。早く火葬をしたい」と考える人もいれば、「生まれてこなくても、家族は家族。しっかり見送りたい」と思う人もいるでしょう。
もしかしたら、赤ちゃんに対する気持ちは家族の中でも違うかもしれません。
とくに、お腹の中で命を育んできたお母さんの想いは尊重する必要があります。
いろんな考え方や選択肢があることを念頭に置いてよく話し合い、最も納得できる形でお別れをしましょう。
下記では赤ちゃんの供養方法やご両親の心のケアについてご案内させていただいています。
よかったら合わせてご覧ください。
葬儀のお知らせが届いても、どうしても参列できないときはあり得ます。
そんなとき、相手にどう欠席を伝えれば傷つけずに済むか、マナー違反にならずに済むかと悩んでしまう人もいるのではないでしょうか。
葬儀に出席できない旨は、電話やメールで伝えても差し支えありません。
欠席についてお詫びするとともに、大切な人を亡くして心が弱っている相手をいたわる言葉が必要です。
基本的なマナーとともに、電話やメールの例文をご紹介します。
昔から、「身近に不幸があった際は可能な限り葬儀に出席しなければならない」というマナーが広く知られています。
よって、よほどのことがない限り、葬儀の知らせがあれば参列すべきと考える人は多いでしょう。
葬儀を欠席せざるを得ない「よほどのこと」は、例えば、以下のようなことです。
・自分の身内に事故や危篤などのアクシデントがあったとき
・自分の身内の結婚式など、めったにない大事な予定があるとき
・海外などの遠方にいて葬儀に間に合わないとき
・入院中など自身の体調不良があるとき
・業務上、替えのきかない重要な仕事が生じているとき
・感染症対策として法律に基づく外出自粛が求められているとき
葬儀と何らかの予定が重なってしまった場合は、その予定をずらすことができないか、仕事であれば代理を立てられないかを、まずは検討してみましょう。
上司への相談も大切です。
その上で、どうしても葬儀に参列できないことが判明した場合でも、まだできることがあります。
詳しくは、次章で解説します。
葬儀に参列できないときは、以下の2つのうちどちらかができないか、考えてみましょう。
葬儀には参列の機会が2回あります。1つは通夜、もう1つは告別式です。
多くの地域では「通夜は一般の人も参列できるもの、告別式は親族だけが参列するもの」といった風習がありますが、その逆の風習を持つ地域もあります。
通夜に出られないなら、告別式に出られないか検討しましょう。
告別式に出られないと悩むなら、通夜や、通夜の前の弔問ができないか考えてみましょう。
そして喪主に「告別式には出られないため、お通夜にお伺いしてもいいですか」などと尋ねてみるのがおすすめです。
仕事の都合などで長時間の参列ができないなら、葬儀が始まる少し前に、受付へ香典を渡しに行くという方法もとれます。
このとき、できれば親族控室などへ顔を出し、喪主や遺族に挨拶しましょう。
ただし、葬儀の直前は喪主が最も忙しいときです。
喪主が葬儀担当者と打ち合わせをしていたり、他の参列者と話をしていたりして、なかなか話す時間が取れないかもしれません。
そのときはその場を辞し、後で改めて喪主に連絡しましょう。
下記の記事では、葬儀に参列できない場合の香典の渡し方についてご案内させていただいています。
よかったら合わせてご覧ください。
葬儀に参列できないときは、前もって喪主や遺族に伝えましょう。
できればメールやSNSといった文章よりも、声が直接伝わる電話でお詫びした方が丁寧とされています。
ただし、葬儀前の遺族は多忙です。
電話で呼び出しても繋がらないときは、メールやSNSでの連絡に切り替えた方がいいでしょう。
くれぐれも、折り返しの電話を求めないようにするのが大事です。
電話で欠席を伝えるときは、以下に注意します。
用件を単刀直入に切り出さず、お悔やみの挨拶から始めます。
欠席するからには、その理由を具体的に述べた方が丁寧だと感じる人もいるでしょう。
しかし、葬儀の欠席事由は、あまり具体的に述べないのがマナーとして良いとされています。
「弔電をお送りします」
「後日、改めてお伺いさせてください」
「後日、お香典を送らせてください」など、参列する代わりに何をするかを簡潔に述べましょう。
久々に会話をするような場合でも、長話は禁物です。
葬儀前の遺族は忙しく、さまざまな用事に追われています。
葬儀に欠席することだけを伝え、長くならないようにしましょう。
もしもし。○○と申します。このたびは、誠にご愁傷様でございました。
お忙しいときにお電話してしまい、誠に申し訳ありません。
実はやむを得ない事情がありまして、葬儀に参列することができません。
大変申し訳ありません。葬儀の日に合わせて、弔電をお送りします。
お忙しいとは思いますが、お体をいたわってください。
○○さんのご冥福をお祈りしております。
喪主や遺族が電話に出ないとき、あるいは電話番号を知らないときは、メールやSNSなど普段やりとりに使っているツールで連絡しましょう。
いつもはフランクなやりとりをする相手であっても、少し改まった表現にすることでお詫びの気持ちが伝わります。
ただし、あまりに丁寧な表現は、相手との関係性によっては慇懃無礼と取られかねません。
以下、相手との関係性別にお詫びの文例をご紹介します。
いずれも、長くならないように気をつけましょう。
このたびは誠にご愁傷様でございます。
突然のことにお掛けすべき言葉も見つかりません。
本来、葬儀に駆けつけるべきではありますが、やむを得ない事情があり、伺うことができません。
誠に申し訳ありません。葬儀式場へ弔電をお送りいたします。
○○様のご冥福を、心よりお祈り申し上げます。
お父様の訃報を聞き、大変驚いております。心よりお悔やみ申し上げます。
本来、葬儀に参列すべきではありますが、やむを得ない事情があり、参列できません。
本当に申し訳ありません。
お父様のご冥福をお祈りしております。
お母様の訃報に接し、謹んでご冥福をお祈りいたします。
葬儀に参列したかったのですが、事情により叶いません。
本当にごめんなさい。葬儀の後、しばらくしたら連絡しますので、弔問に行かせてください。
これから忙しいと思いますが、どうか体に気をつけてね。
葬儀に参列できないときは、後のフォローを忘れずに行いましょう。
以下のいずれかが考えられます。
葬儀に間に合うように、葬儀式場に宛てて弔電を送ります。
弔電は、昔ながらの方法として「郵便局に行って依頼する」「NTTに電話で依頼する」の2つがあります。
今ではインターネットを利用するのが一般的です。
葬儀日程を確認し、配達が間に合うかどうかを確かめてから利用しましょう。
葬儀後、49日までの間に、喪主や遺族にアポイントメントを取ってから弔問します。
弔問時には、香典を持参しましょう。
ただし香典を辞退している葬儀の場合は、香典を持っていってはいけません。
葬儀後、49日までの間に、郵便局の現金書留を使って香典を送ります。
現金書留の袋には、香典袋の他にお悔やみの手紙を入れましょう。
香典を辞退している葬儀の場合は、お悔やみの手紙だけを送ります。
お悔やみの手紙は、1枚だけにとどめるのがマナーとされています。
2枚以上にわたると「不幸が重なる」ことに繋がり、縁起が悪いとされているためです。
葬儀に参列できないときは、お詫びの電話やメールをします。
しかし、どんなにお詫びをしたい気持ちがあっても、長々と事情を話したり、お詫びの言葉だけをたくさん並び立てて長電話をしたりするのは良くありません。
喪主や遺族の負担になってしまうためです。
「参列できず申し訳ありません」とストレートにお詫びを伝えたら、あとは故人の冥福を祈る気持ちや、遺族をいたわる気持ちを言葉にしましょう。
そうすれば、自然とあなたの想いは伝わります。
赤ちゃんをお腹で育んでいる最中に亡くしてしまうのは、お母さんにとって、とても辛いことです。
日本では、お腹の中で赤ちゃんがある程度大きくなってから亡くなると、火葬をしなければなりません。
その境目は妊娠12週であり、12週以降であれば火葬が義務づけられています。
「流産と死産の違いって何?」
「どんなふうに赤ちゃんを亡くすと火葬が必要になるの?」と疑問に思っている方のために、死産と流産の違いや、火葬はいつから義務づけられているのかについて解説します。
まずは流産について具体的に説明しましょう。
「流産」といって多くの人が思い浮かべるのは、妊婦がある日突然激しい腹痛に襲われ、その後子宮から大量の出血があるという状態でしょう。
このような流産は「進行流産」と呼ばれ、自覚症状があり、子宮の内容物の多くは自然に排出されます。
進行流産に対して、出血や腹痛といった自覚症状がないのに流産してしまう状態を「稽留流産」といいます。
産科へ検診などに行き、超音波検査を行うことで初めて赤ちゃんが亡くなっていることが分かります。
稽留流産になると、いずれ生理のような痛みとともに子宮内の組織が排出されるケースが多いですが、手術によって子宮の中をきれいにすることもあります。
死産には2つの状態があります。
1つは、妊娠中に母体の中で赤ちゃんが死亡してしまっている状態です。
妊娠中の女性が、下腹部痛や不正出血など違和感に気づいて産科へ駆け込み判明する場合もあれば、定期健診で「赤ちゃんの心臓が止まっている」と医師から告げられることもあります。
2つめは、分娩中に死亡してしまう状態です。
へその緒が赤ちゃんに絡まってしまう、胎盤に異常があるなど様々な要因で、それまで健康とみなされていた赤ちゃんであっても、亡くなってしまうことがあります。
もし生まれてすぐに赤ちゃんが亡くなってしまったとしても、母体の外で赤ちゃんが生きていた時間があったとしたら、死産には含まれず新生児死亡として扱われます。
死産も流産も、赤ちゃんが生存した状態で生まれなかったという点では同じです。
死産と流産の違いは、週数にあります。
日本においては、医学的には妊娠22週以降に赤ちゃんがお腹の中などで亡くなることを「死産」、22週未満であれば「流産」と定義しています。
なぜ妊娠22週が分かれ目になるのかといえば、22週以降に生まれた赤ちゃんは、母胎の外で生存できる可能性があるためです。
妊娠22週から36週6日までの出産は「早産」と呼ばれ、生存した状態で母胎から排出された場合、医療的サポートを受けることができます。
つまり日本の医療では、22週以前は「お腹の中でなければ生きられない命」、22週以降は「お腹の外でも生きることができるかもしれない命」に分けられているといえます。
よって倫理的な観点から、妊娠22週以降の人工妊娠中絶は禁止されています。
日本の医学においては妊娠22週以降に胎児が亡くなることを死産としていますが、法律ではその期間が違います。
「昭和二十一年厚生省令第四十二号(死産の届出に関する規程)」では、死産を「妊娠第四月以後における死児の出産」、つまり妊娠12週以降としています。
医学的な定義と、10週の差があります。
法律では、全ての死産は届け出なければならず、また「死体」として火葬または埋葬を行わなければなりません。
日本では、埋葬ができるお墓が非常に少ないため、一般的には火葬が行われます。
医学的定義と法律的定義が違うので紛らわしいですが、「妊娠12週以降に流産、死産した場合には火葬が必要」と考えましょう。
死産、流産の他に、人工妊娠中絶で赤ちゃんが亡くなることがあります。
人工妊娠中絶は人為的に妊娠を終了させることです。
母体保護法に則り、手術を行う場合と薬を服用する場合があります。
人工妊娠中絶の場合も、妊娠12週以降に行われたのであれば届出と火葬が必要です。
死産後の届出と火葬手続きの内容や流れを、分かりやすく説明します。
医師あるいは助産師から、「死産証書」または「死胎検案書」を受け取ります。
「死産証書」は、医師が死産に立ち会う場合に発行されます。
「死胎検案書」は、医師が死産に立ち会わない場合に発行されます。
死産証書(死胎検案書)の左側は「死産届」になっているため、死産届に父母の名前や本籍などの必要事項を書き入れます。
死産届を、死産があった病院の所在地か、届出人となる両親の所在地の市区町村役所に提出します。
提出期間は、死産があった日から7日以内です。
死産届の提出は、未婚の場合などやむを得ない事情がない限りはお父さん側が行います。
実際、死産してからしばらくは女性の身体的負担が大きいため、お父さんが手続きを行うのが一般的です。
赤ちゃんの葬儀を葬儀社へ依頼した場合、葬儀社が代行してくれます。
役所窓口に死産届を提出すると、火葬埋葬許可証が発行されます。
この後、火葬の予約を行います。
両親が自ら火葬場へ連絡して火葬の予約を取ることもできますが、葬儀社へ依頼することも可能です。
棺を用意します。
胎児用の棺はインターネット通販などで手に入りますし、葬儀社に棺だけを依頼する人もいます。
病院によっては、一般的な棺ではありませんが、代用できる専用の容器を用意してくださるところもありますので、確認をしてみると良いでしょう。
心を込めて、段ボールや家にある紙箱などで手作りする人も見られます。
予約時間までに火葬場へ出向き、火葬を行います。
死産となった赤ちゃんを自家用車で運んでも、法律違反ではありません。
葬儀社に車を手配してもらう人もいます。
死産後、両親だけで火葬までの手続きを済ませるケースもあれば、葬儀社に依頼して葬儀を行うケースもあります。
死産となってから赤ちゃんの葬儀、火葬に至るまでの詳細なプロセスは、別記事「死産をされた赤ちゃん(胎児)の葬儀、火葬はどうなる?わかりやすく解説」に書きますので、参考にしてください。
法律では、妊娠24週以降に死産となった場合には、死産後24時間を経過するまで火葬ができません。
「死後24時間が経たないと火葬できない」という決まりは、胎児でなくても同じです。
火葬の予約をする場合は気をつけましょう。
なお、死産から火葬まで期間を長く取る場合には、腐敗が進まないようドライアイス等で赤ちゃんの体を冷やす必要があることもあり得ます。
葬儀社に依頼すれば、赤ちゃんの体に合った分量のドライアイスを手配してくれます。
妊娠12週以降の流産、死産では役所への届出と火葬が必要になります。
死産を経験したお母さんが入院するなかで、お父さんや他の家族が協力し合って手続きをするということです。
実際に手続きをする家族は、悲しむ間もなく忙しいと感じるかもしれません。
しかし、赤ちゃんを失ったお母さんは、体はもちろんのこと、心も深く傷ついています。
まわりの人は、いたわりが必要な状態が長く続くと考え、お母さんが孤独感を募らせることのないよう配慮しましょう。
とくに火葬の日程を決めるときには、まだ入院中であるお母さんの意向を尊重するのが大事です。
「せめて自分が退院してから見送りたい」「我が子と一秒でも一緒にいてあげたい」と願う人は多く、2週間先の火葬予約を希望した例もあります。
そのような場合は、赤ちゃんの状態を少しでも良好に保てるよう、葬儀社に相談しましょう。
香典は通常、お通夜や告別式のときに持参するものです。
しかし、不幸があったことを葬儀の後に知ったときなど、日にちが経ってから香典を用意する場合もあります。
『日にちが経ってからの香典は表書きが違う?』と、戸惑う人もいるでしょう。
49日を過ぎると表書きが違ってくるため、注意したいものです。詳しく解説します。
『葬儀で香典を渡せなかった人に、後から渡すのはルール違反?』と迷う人もいるかもしれません。
香典は、日にちが経ってから渡しても構わないものです。ただ、次の2つに注意しましょう。
1つは、不幸を知ったら速やかに香典を用意することです。
遺族は香典を受け取ったら、香典返しを用意しなければなりません。
つまり、あなたが良かれと思って用意した香典そのものが、タイミングを間違えると相手の手間を増やしてしまう可能性もあるのです。
香典返しの品物を発送するタイミングは四十九日頃なので、遺族が業者と打ち合わせをして品物を検討して発送準備に取り掛かるのは、葬儀が終わって2週間後〜4週間後と思われます。
その時期が過ぎた頃に届く香典には、遺族はその都度香典返しを手配する必要があるかもしれません。
なるべく早く香典を用意しましょう。
もう1つは、香典の受け取りを遺族が辞退されていないかどうか確かめることです。
近親者を中心とした家族葬では、香典の受け取りを辞退しているケースが近年増えています。
香典を辞退しているにもかかわらず香典が届いたら、遺族は戸惑います。
香典返しを用意しなければ非礼にあたるのか、香典を送り返すのは非礼にあたるのか、お悩みになるかもしれません。
香典を辞退していないかどうかは、必ず確かめましょう。
日にちが経ってからの香典は、表書きを濃い墨で書きましょう。
お通夜や告別式に持参する香典の表書きは、薄墨で書くのがマナーです。
つまり、黒よりも少し薄めの墨で書くということで、薄墨の筆ペンも売られています。
これは、『突然の不幸に悲しむあまり、墨が涙で薄まってしまった』ことを表しています。
しかし、お通夜や告別式が終わった後は、一般的な濃い墨で表書きを書くのがマナーです。
初七日までは薄墨で書く場合もありますが、特に日にちが経ってからは、黒い墨の筆ペンなどを使いましょう。
仏式の葬儀では、故人が亡くなって四十九日目を迎えるまで、浄土真宗以外であれば香典の表書きを『御霊前』とします。
日本の仏式葬儀には、亡くなってから49日間は故人の魂が『霊』としてこの世とあの世の間をさまよっているという考え方があるためです。
日本の仏教の中でも浄土真宗だけは、四十九日の前であっても香典の表書きを『御仏前』とします。
なぜなら、浄土真宗では故人が亡くなってすぐに浄土へ行き、『仏』になると考えているためです。
故人は『霊』としてさまよわないため、香典にも『霊』ではなく『仏』を使うのです。
よって日にちが経っていても、故人が亡くなってから49日間が経過していないと知っているなら、そして先方が浄土真宗以外の仏式であるならば『御霊前』と書くのが正式です。浄土真宗であれば『御仏前』と書きます。
四十九日を過ぎてからは、浄土真宗以外の宗派であっても香典には『御仏前』と表書きします。
四十九日間は『霊』としてさまよっていた故人の魂が、四十九日を過ぎると浄土へ行き『仏』になれると考えられているためです。
先方の宗派が分からなかったり、故人の命日を知らず四十九日が過ぎているかどうか分からなかったりする場合には『御香典』と表書きしましょう。
『御香典』は、どんなタイミングでも、どんな宗派でも使える表書きです。
先方が神式の葬儀を行ったことが分かっている場合、香典の表書きには『御玉串料』と書き入れます。
玉串とは、榊の枝に紙垂(しで。正月飾りなどに使われる白い紙の飾り)をつけたものです。
神式の葬儀を行うとき、参列者は焼香の代わりに『玉串奉奠』を行い、祭壇に玉串を捧げます。
先方が神式の葬儀を行ったことを知らず『御霊前』と表書きした香典を持参しても、失礼にはあたりません。しかし、神式葬儀であったことを知っているなら『御玉串料』と表書きしましょう。
なお、神式の表書きには『御玉串料』の他に『御神前』『御榊料』といったバリエーションがあります。
先方がキリスト教で葬儀を行ったことが分かっているなら、香典の表書きは『御花料』とします。
キリスト教の葬儀では、焼香ではなく祭壇に花を捧げる『献花』を行うためです。
『御花料』は、カトリックであってもプロテスタントであっても使える表書きです。
もし先方がカトリックであることが分かっている場合、香典の表書きは『御花料』の他に『御弥撒料』(おんみさりょう)が使えます。
プロテスタントの場合は、『御花料』の他に『忌慰料』(きいりょう)が使えます。
日にちが経ってから香典を用意するときは、どうやって渡すか迷いがちです。
通夜や告別式のように、受付のある場所へ持参するわけではないためです。
日にちが経ってから香典を渡すときには、『直接渡す』『郵送する』の2つのパターンがあります。
それぞれ、マナーについて解説します。
遺族の家へ弔問し、香典を直接手渡すのが正式なマナーです。
あらかじめ電話などで弔問したい旨を告げ、双方の都合がよい日時を決めましょう。
当日は落ち着いた色味のスーツなど改まった服装で出かけ、故人の遺影などへ向かって焼香し、遺族に香典を渡します。
香典を渡すときの言葉は『こちら、御霊前(御仏前、御神前)にお供えください』としましょう。
遺族は死後の手続きなどで疲れていることも多いため、弔問ではあまり長居しないのがマナーとされています。
遺族から引き留められない限り、30分程度で退出するようにしましょう。
弔問中の話題も、故人とは関係のない明るい話題などは避け、故人の思い出話や遺族の体調を気遣う話題を中心とするのがマナーです。
遠方の場合は、香典を郵送するのも失礼にはあたりません。
ただし、普通郵便では現金を送れないため、必ず現金書留を使います。
表書きや住所などを書き入れ、香典を入れた香典袋と、お悔やみの気持ちをしたためた手紙を郵便局に持参しましょう。
現金書留用の封筒に香典袋と手紙を入れ、必要事項を書き入れて封をし、窓口で手続きします。
封筒には割印を押す場所があるため三文判を持っていくと便利ですが、サインでも構いません。
このように香典袋だけでなく、お悔やみの手紙を同封するのがマナーです。
お悔やみの手紙は、2枚以上になると『不幸が重なる』ことを連想させるため縁起が悪いとされています。1枚に収めましょう。
香典は、日にちが経ってからでも用意することが可能です。
四十九日が過ぎた頃に香典を用意するときは、とくに表書きに注意しましょう。
なお、表書きもさることながら、渡し方にもマナーがあります。
弔問する場合と郵送する場合、どちらにするにせよマナーを守り、故人を悼む心が遺族へ伝わるようにしましょう。
相手の気持ちを考えながら、丁寧に準備をすれば、きっと気持ちは伝わります。
ドラマ映像などで、葬儀のときに茶碗を割るシーンを見たことがある人もいるでしょう。
「本当に葬儀でそんなことするの?」
「自分が喪主になったら、茶碗を割らなければならないのだろうか」と疑問をお持ちの方に、葬儀で茶碗を割る風習の意味を解説します。
また、遺族として茶碗を割ることになったとき、どんな対応をすればよいのか、割りたくないときにはどうすればよいのかもご紹介します。
葬儀で茶碗を割る風習は「茶碗割り」などと言われます。
割られる茶碗は、故人が生前使っていたものです。
棺が霊柩車に乗せられ、火葬場へ向かって出発することを「出棺」といいます。
告別式が終わり出棺するとき、クラクションが鳴らされるタイミングなどで故人の茶碗を地面に叩きつけ、割ります。
茶碗割りは、近畿地方から九州にかけて広く行われてきた葬儀の風習です。
関東から北の方にはあまり見られない風習なので、「うちの方では見たことがない」という人も多いでしょう。
また、近畿以西であっても地域によっては茶碗割りをやらなかったり、昔は行っていたものの今では廃れていたりします。
筆者の広島県では、浄土真宗が圧倒的に多い地域のため、茶碗わりの風習は滅多にお見かけしません。
浄土真宗ではお亡くなりになられた方は誰でも、どんな人生を歩まれた方でも、直後に極楽浄土へ行かれるという考えのため、故人が浄土へ行けますようにと願う茶碗割りの風習はありません。
このように茶碗割りは必ず行う風習ではありません。
茶碗割りを行うかどうかは、地域によって、また遺族の考え方によって違います。
なぜ葬儀のとき故人の茶碗を割るかといえば、故人の魂をこの世から解放するためです。
茶碗は毎日使うもの。
もし茶碗が残っていたら「いつものようにご飯を食べたい」と、故人の魂が現実世界に残ってしまうかもしれません。
故人のこの世への未練を断ち切るために、あえて茶碗を割ることで「あなたが戻れる場所はないよ」
「あの世へ向かいなさい」と魂にメッセージを知らせるのです。
つい数日前まで生きていた故人に「戻ってくるな」と知らせるのは、とても残酷なことだと考える人もいるかもしれません。
しかし昔の人は、早く故人の魂をこの世から解放しなければ、極楽浄土へ向かうことができないと信じていました。
故人の魂が安らかに成仏できるよう、手助けするための風習なのです。
故人の魂の未練を断ち切ることは、遺族の未練を断ち切ることにも繋がります。
毎日ご飯をよそってあげていた故人の茶碗を、割ってなくすことで「もう大切な人はこの世にいない」と強く実感することになるためです。
茶碗割りには、故人の死を受け入れるという意味もこめられています。

葬儀で故人の茶碗を割るのは、喪主あるいは遺族の中の誰かです。
茶碗割りがある地域では、葬儀社から事前に説明があり、出棺の場へ故人の茶碗を持参するよう求められます。
葬儀スタッフへ茶碗を預けると、出棺時にスタッフが茶碗を手渡してくれます。
茶碗を地面に叩きつけるタイミングについても案内してもらえます。
もし葬儀で故人の茶碗を割ることになったら、以下の5つに注意しましょう。
「故人が愛用していた茶碗を割るなどと想像しただけでも辛い」と、茶碗割りをストレスに感じる人もいるでしょう。
夫婦茶碗だった、故人が作った茶碗だったなど、思い出深い茶碗であればなおさらです。
どうしても故人の茶碗を割りたくないと感じたら、家にある別の茶碗を割っても構いません。
茶碗割り用の茶碗を用意している葬儀社もあるため、家に別の茶碗がなければ相談してみましょう。
「形ある茶碗を故意に割ること自体が受け付けられない」と考える人もいるでしょう。
葬儀内容の決定権を持つのは喪主です。
地域の風習として茶碗割りが定着していたとしても、喪主がやりたくないなら、やらなくても構いません。
葬儀社は喪主の意向を尊重するため、風習だからといって強要することはありません。
親族やご近所には「このたびは喪主様のご意向により茶碗割りは行いません」などと説明してくれます。
出棺のときに茶碗を割らなかったとしても、後で「やはり割ればよかった」という思いがよぎることがあります。
葬儀が終わって気持ちが少し落ち着いてから「故人は迷っていないだろうか」と、不安になってくることがあるためです。
茶碗割りは、出棺のときでなくても行うことができます。
いつでも、自分の心が整ったときに茶碗を割って構いません。
きっとそのときが、故人の死を少し受け入れられたタイミングなのです。
家の中で茶碗を割るときは、ビニール袋に入れてからトンカチで叩くなど、破片が飛び散ったり家財が傷ついたりしないよう工夫しましょう。
筆者も過去に茶碗を割るご葬儀に立ち会うことが何度かありましたが、茶碗を割る際、
力加減を遠慮気味にすると、地面へ茶碗を落としても割れない場面を何度か見かけました。
故人が愛用していたもの、大切にしていたものであれば、力一杯割ってしまうのは難しく、躊躇してしまうのも無理はありません。
しかし一度で割ることができないと、周囲の参列者の視線を感じながら、慌てて再度挑戦となるのも気恥ずかしい気持ちにもなるでしょう。
茶碗を割る時は、ある程度の力をしっかり込めて行いましょう。
筆者が出棺時に茶碗を割るご葬儀に立ち会った時は、割った後の破片が地面に散らばらないように、予めビニル袋の中に茶碗を入れて封をさせていただきました。
こうすることで地面へ落下時した時も、茶碗は封をしたビニル袋の中で割れるだけなので、破片が周囲へ飛び散ることはありません。
後で周辺を掃除する手間も省けますし、周囲の人や周辺環境を傷つけることも防げるでしょう。
故人がこの世へ帰ってこられないようにする風習は、他にもあります。
「出棺時に棺を3回回して故人の方向感覚を失わせる」
「木で仮の門を作って棺をくぐらせ、その門はすぐに燃やしてしまう」
「燃やした藁を屋根の上に投げることで、故人に家が燃えてしまったことを伝える」などです。
出棺のとき、通常では見られない珍しい風習を見たら、どのような意味が込められているのか確認してみましょう。
日本の葬儀風習には、「故人が無事、浄土へ行けますように」という思いが詰まっています。
仕事でいつもネクタイピンをつけている人は、葬儀の場でも無意識につけてしまうかもしれません。
しかし、葬儀にはネクタイピンをつけないのがマナーです。
ネクタイピンがタブーな理由や、その他ネクタイ周りの葬儀マナーについて解説します。
葬儀には、ネクタイピンをつけていってはいけません。
ネクタイピンをつけるのはマナー違反とされているからです。
告別式だけでなく、お通夜や法事などといった弔事においては、全てネクタイピンをつけません。
仕事先からお通夜や告別式といった葬儀に直行する場合は、ネクタイを黒へ変えるときにネクタイピンを外し、そのままつけずに出向きましょう。
袖口にカフスボタンをつけている場合も、外して参列します。
ネクタイピンやカフスは、スーツ姿を飾るものとみなされます。
よって葬儀ではNGなのです。
葬儀で許されているアクセサリーは、結婚指輪とパールのみです。
パールは涙の粒をイメージさせるため、パールの連なったネックレスや一粒真珠のピアス、イヤリングはつけてもよいとされています。
また、葬儀では装飾を抑えた服装を求められます。
スーツも白いシャツも、黒いネクタイも全て無地であり、柄や地模様が入っているものはNGです。
ベルトのバックルもできるだけ地味なものがよいとされ、靴も黒でなるべく金具のついていないものが好ましいとされます。

葬儀で気をつけたいのは、ネクタイピンだけではありません。
葬儀における男性の胸元には、いくつかのマナーがあります。
以下に紹介するので、参列前の確認がおすすめです。
ネクタイは、柄や地模様が入っていない無地のものを選びます。
注意したいのが、光沢の有無です。
光に照らしてややツヤが分かる程度なら構いませんが、明らかに光沢が目立つ黒ネクタイはお祝いごとのためのものなので、光沢のない弔事用を一本購入しておきましょう。
色は黒でも、ニット素材のネクタイは葬儀にふさわしくありません。
カジュアルな印象を与えるためです。
一般的なネクタイよりもかなり細幅のネクタイ(ナロータイ)は、おしゃれ目的のネクタイです。
葬儀の場にはふさわしくありません。
また、太すぎるネクタイも悪目立ちします。
一般的な幅のネクタイを着用しましょう。7.5cmから8.5cmの幅であれば問題ありません。
急にお通夜の予定が入ったなど、黒いネクタイを用意できる環境にないときは、グレーや紺など地味な色のネクタイであれば可とされます。
柄物や地模様の入ったネクタイは、なるべく避けましょう。
出先で、明るい色のネクタイしかない場合は、できれば紳士服売り場などへ立ち寄って黒いネクタイを購入するのがおすすめです。
100円ショップに用意されている場合もあり、急場しのぎに使えます。
ディンプルとは、ネクタイを締めるとき、仕上げに作る結び目の下のくぼみのことです。
ネクタイを立体的に、華やかに見せるディンプルは、葬儀の場にはふさわしくないため作りません。
長年の習慣でついついディンプルを作ってしまう人は注意しましょう。
結び目がふっくら大きいと華やかな印象を受けます。
葬儀のときは、なるべく結び目を小さくするよう意識しましょう。
葬儀にふさわしい、特別なネクタイの長さというものはありません。
一般的に、ネクタイの長さはベルトにかかる程度がよいとされており、葬儀でも同様の長さに仕上げます。
長すぎるとだらしない印象を与えるため、注意しましょう。
昨今ではビジネスシーンのカジュアル化が進み、ネクタイを結び慣れていない人もいるかもしれません。
ネクタイの扱いに自信が持てない人は、あらかじめ結び目が作られているワンタッチネクタイの購入を検討するのもいいでしょう。
葬儀用のワンタッチネクタイも多数販売されています。
婚礼などのお祝いごとでは、ポケットからハンカチーフを覗かせるのがマナーとされます。
しかし、葬儀の場ではハンカチーフを覗かせません。
注意しましょう。
マナーに自信がないと、どうしても振る舞いが落ち着かなくなってしまいます。
結果、焼香をしてもどこか上の空だったり、遺族へ挨拶するときに「失礼なことをしていないか」と、マナーのことばかり気になってしまいます。
葬儀で最も重要なのは、故人を偲び、遺族にお悔やみの気持ちを示すことです。
葬儀に集中するためにも、事前にマナーを確認し、自信を持って参列できるようにしましょう。
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