死別の悲しみはいつまで…大切な人を失った方へ~悲嘆のプロセス

更新:2022.12.05

大切な人を失った時の心の痛みは計り知れないものがあります。

それは、だた「悲しい」「寂しい」だけでは語り切れない、さまざまな感情や想いが渦巻くものです。

しかし、私たち人間は、与えられた命を生き続ける限り、先に亡くなった人たちを見送らなければなりません。

死別を受け止め、受け入れることによって、自身の人生の歩みを、一つ前に進めることができるのです。

縁があってこの記事にたどりついて下さったあなた。

きっと今、大切な人を失ったことによる悲しみの底にいるのかもしれません。

あるいは、あなたの大事な家族や友人が、死別の悲しみに苦しんでいて、何か自分にできることはないかと、その方法を探しているのかもしれません。

この記事では、死別による悲嘆がどのような形で当人に影響を及ぼすのか、どれくらいの時間をかけることでその痛みが癒されていくのか、学術研究の成果と、葬儀社としての経験をまぜながら、分かりやすくお伝えしていきます。

この記事が、あなた自身や、あなたの大切な人のお役に立てるよう、祈りを込めて書きました。

微力かもしれませんが、どうぞ最後まで読み進めてみてください。

あなただけじゃない。大切な方を失った方の悲嘆プロセス

人が生きている限り、避けがたいグリーフ

人が生きている限り、大切な人との別れは避けられず、その際、心に大きなダメージを負ってしまいます。

2500年前にこの世に生きたお釈迦様も、人間の避けがたい苦しみの一つに「愛別離苦」(愛するものと別離する苦しみ)があると言っています。

死別の悲しみのことを「グリーフ」と呼びますが、グリーフが与える影響は人によってさまざまです。

辛い、寂しい、苦しいといった感情をさらに深く見てみると、戸惑い、絶望、虚脱、焦り、罪悪感など、私たちを襲ってくる苦しみにもいろいろな性格があるようです。

遺された人の性格や思想、さらには故人との関係性によってさまざまな形で表れ、それだけ人間の感情が捉えどころがなく、多様であることを意味します。

だからこそ、死別によって引き起される悲嘆は複雑で、すぐに解決するこれという正解はありません。

時間が過ぎる中で、自分自身が死別の事実を受け止めて、受け入れていくしかないのです。

もちろんその過程で、まわりにいる家族や友人の力を借りることはできます。

グリーフをケアする取り組みを「グリーフケア」と呼びます。

心を開ける相手に、ほんのわずかでも思いの丈を語ることで、たとえわずかばかりであっても、心の痛みはやわらぐはずです。

死別の悲しみは4年半 悲嘆から立ち直るまでの12のプロセス

グリーフに関する学術研究にはいくつか成果が出ており、死別者が悲嘆から立ち直るまでの期間は平均で4年半だと言われています(『はじめてのグリーフケア』(宮林幸江・関本昭治著))。

その期間、死別者の感情がどのように推移するのか、ドイツの哲学者フォンス・デーケンの『悲嘆12のプロセス』をご紹介いたします。

デーケンによると、大切な人を失った人は、次にあげる12のプロセスを経て、新しい希望を持ち、立ち直りの段階に到達できるとしています。

■1.精神的打撃と麻痺状態

「何も考えられない」「何が起きたか分からない」という状態です。

自身の拠り所になっている人の死は、その関係性が強く、突然であればあるほど、大きなショックを受けます。

このショックは、心身の痛みをわずかでもやわらげるための本能的な防衛反応だと考えられており、人によっては一時的に現実感覚がマヒ状態になります。

■2.否認

「絶対に生きている」「死ぬなんてあり得ない」「必ず元気な姿で帰ってくる」という状態です。

死別を受け入れられないために、死の事実そのものを否認します。

■3.パニック

事態の突発性や、悲しみの深さから、恐怖が生じ、パニックを起こすこともあります。

■4.怒りと不当感

死別が避けがたい事実であることを徐々に理解していく中で、「どうして私だけが?」という不当感や怒りが生じます。

■5.敵意とうらみ

やり場のない怒りや不当感が、「あなたのせいで」といった敵意やうらみとなり、周囲の人たちに向けられます。

特に病院の医師や看護師、交通事故で亡くなった際の加害者が対象となります。

故人本人が原因で亡くなった場合は、本人に対して怒りをぶつけることもあります。

■6.罪の意識や後悔

「私のせいで」「私がもっとああしておけば」と、大切な方の死の原因を自身の中に見出そうとすることで、罪悪感や後悔にさいなまれます。

■7.空想形成・幻想

故人が今も生きているように思いこみ、日常生活の中で、ともに暮らしているかのようにふるまいます。

故人の食事を並べる、部屋の中をきれいに整えておくなどが挙げられます。

■8.孤独感と抑うつ

死別の事実が避けがたいものと理解され、孤独感や寂しさが迫ってきます。

また、抑うつ(気分が落ち込んで何もしたくない状態)の症状に苛まれることもありますが、誰もが通る大切なプロセスの内の一つだと言われています。

特に、葬儀後のあわただしさがひと段落したころに襲ってくることが多いようです。

■9.精神的混乱と無関心

大切な人を失ったことにより、やりがいや生きがいを見出すことができなくなる時期です。

いわゆる虚無感に襲われます。

■10.あきらめ→受容

ここまでのプロセスを経て、ようやく「あの人はもう戻ってこない」という諦めが生じます。

諦めは現実の受容でもあり、死別の悲しみを受け止め、受け入れる段階に貼っていきます。

■11.新しい希望

大切な人を失った上で、どのように新しい生活への一歩を踏み出せるか。

死別を乗り越え、一歩前に足を踏み出そうとする段階です。

自身の生活の中から故人を切り離して考え、自分自身の生きがいを見出し始める段階です。

■12.立ち直り

死別の悲しみを乗り越え、新たな人生を歩み始めます。

ここに挙げたのは、あくまでも死別のプロセスモデルのうちのひとつです。

多くの人はこのプロセスを経ますが、人によってはこの通りのプロセスを踏むわけではありません。

途中のフェーズを飛び越えて、早く立ち直れる人もいますし、4年半よりもさらに長い期間、ずっと抑うつや虚無感に苛まれるという人もいます。

しかし、死別のあとにはこうした精神状態が私たちを襲うのだということを知っておくことで、グリーフに苦しむ人も自身を冷静に見つめることができます。

また、グリーフに苦しむ家族や友人をケアしたいと考える人も、焦ることなくその方に寄り添って、心のケアに取り組めるのではないかと思います。

グリーフケアとして葬儀や仏事にできること

私たちは葬儀社ですから、少し、葬儀や仏事とグリーフの関わり合いについて触れておきたいと思います。

お葬式に参列すると、お香典を差し出し、喪主や遺族にお悔やみを述べ、故人に焼香をして、死を悼みます。

多くの人はお坊さんが葬儀の中で何をしているのか知りません。

お坊さんによる宗教儀礼は、『悲嘆12のプロセス』における「あきらめ→受容」を儀式化したものだと言えます。

葬儀の中で行われる最も大切な儀式に、「授戒」と「引導」があります。

「授戒」とは、故人様を仏弟子にすること。そして「引導」とは故人様をあちらの世界に送り出すこと。

僧侶は死者に向けて、「故人様はあちらの世界で修行を積んで仏を目指す修行に入る。

あなたはもうこちらの世界の人間ではないぞ!」という強いメッセージを送り、この世への未練を断つように伝えます。

それは同時に遺族へのメッセージでもあるのです。

「悲しいかもしれないが、故人はもう帰ってこない。まずはそのことを受け入れましょう」と。

もちろん、授戒と引導をしたからといって、いきなり遺族たちが悲嘆のプロセスを乗り越えて、死別を受け入れ、立ち直れるかというとそんなことはありません。

ただ、仏教は最終的にはその段階を目指しているということです。

仏教では、この世は苦しみに満ちており、その現実を諦め(仏教では「諦念」と呼びます)、受け入れることで心の平穏がもたらされると考えます。

死別の受け入れには、長い年月が必要です。

だからこそ、初七日、二七日と、葬儀後も七日ごとに法事をして、四十九日法要を終えた後は、一周忌、三回忌、七回忌、十三回忌と、定期的に家族や親族が集まって、故人様を偲ぶのです。

定期的に法事を行うのは、まさにグリーフケアの区切りとなるポイントを意図していることに他なりません。

仏教による葬儀や供養のシステムは、アジア人や日本人が古くから見出していたグリーフケアのシステムだったと言えるでしょう。

心を込めたお葬式や法事は、広島自宅葬儀社にご相談下さい。

いかがでしたでしょうか。死別の悲嘆は誰もが経験することです。

何をしていいか分からない、どうすればこの苦しみから解決できるか、答えがないことだから誰にもその解決方法は分かりません。

だからこそ、葬儀や法事といった形式の定まった儀式が、私たちを安心させてくれます。

心のこもったお葬式や法事は、どうぞ、広島自宅葬儀社にご相談下さい。

どんなささいなことでも構いません。お客様の声に耳を傾け、親切丁寧に、アドバイスさせていただきます。

この記事を書いた人

廣田 篤  広島自宅葬儀社 代表

葬儀業界20年、厚生労働省技能審査1級葬祭ディレクター。終活カウンセラー。大手冠婚葬祭互助会で通算1,500件の葬儀を担当。家族の在宅介護がきっかけで広島自宅葬儀社を設立。身内の死や介護の経験、数々の葬儀を通じての縁から「死」について考え、文章にすることをライフワークとしている。

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