葬式で配られる塩は振った方がいい?お清めの塩の意味や地域のしきたり

更新:2024.02.28

お葬式から帰ってきたとき、あなたは玄関先で塩をまくでしょうか。

「両親はやっていたけれど、自分はやらない」

「今も昔もやらない」など、答えはさまざまでしょう。

なかには、お葬式の会葬礼状になぜ塩が入っているのか分からない人もいるのではないでしょうか。

お葬式で塩を撒く意味や、地域によるしきたりの差について解説します。

会葬礼状に「清め塩」が入っているのは何のため?

会葬礼状に入っている清め塩 広島自宅葬儀社
会葬礼状に入っている清め塩

お葬式で渡される会葬礼状に、「清め塩」などと記された小袋が挟まっているのを見たことがある人は多いでしょう。

お葬式にあまり出たことのない人は、なぜ塩が入っているのか意味が分からないかもしれません。

清め塩は、名称の通り、穢れた場所や体を清めるための塩です。

お葬式から帰ってきた体には死の穢れがついているという考え方から、死の穢れを自宅に持ち込まないよう、玄関先で塩を体に振り、体を清めます。

塩の振り方はさまざまですが、一般的には塩をひとつまみ、肩から下の部分に振りかけるのが主流です。

その後、パンパンと喪服をはたいて塩を落とし、家に入ります。清めに使った塩は、ホウキで掃くなどして捨ててしまいます。

帰宅時に留守番の家族がいる場合は、玄関先から家族を呼び、自分の体に塩を振りかけてもらいます。

留守番役がいない場合は、あらかじめ小皿に塩を盛って玄関先に用意しておくか、会葬礼状に挟まっている清め塩の袋を使います。

昔から塩は魔除けとして重宝されてきた

魔除けとして使われた塩

なぜ、お葬式から帰ってきたときには玄関で塩をまくのでしょうか。

塩は、古来より厄除け、魔除けとして重宝されてきたためです。(参照:神社本庁 清め塩について

とくに神道文化では塩がお清めの意味を持ち、神棚には小皿に三角錐形の盛り塩が捧げられます。

もともと神事である相撲の取組が始まる前には、各力士が土俵に塩を撒きますが、この作法にも土俵を清めるという意味が込められています。

また、現代でも玄関先に盛り塩を置く人がいます。

小皿に三角錐形の盛り塩を下駄箱の上や三和土の隅に置くことで、外から入ってくる邪気を排除し、運気を上げるのです。

なぜ塩が清めの意味を持つに至ったかに関しては、諸説あります。

「古事記」の中に、イザナギノミコトが黄泉の国から帰ったとき海水を使って体を清めたという記述があることから、塩が神聖視されてきたという説が有力です。

塩は、実生活においても安心して食べ物を保存するため必須の調味料として重宝されてきました。

漬物や味噌といった保存食品には塩が欠かせず、その防腐力は広く認められています。

このことからも、「塩には殺菌効果がある=穢れを祓ってくれる」というイメージが確立してきたと考えられます。

お葬式で塩を振らない宗派もある

清め塩を完全に神道由来のものとし、お葬式で塩を振らない宗派もあります。

キリスト教全般や、仏教の中では浄土真宗のお葬式がそれにあたります。

とくに浄土真宗の門徒が多い広島県や新潟県では、清め塩があまり使われません。

なぜ浄土真宗では清め塩を使わないのでしょうか。

浄土真宗では、阿弥陀様の教えのみに従い、俗説や迷信に惑わされずに生きることが良し、とされているためです。

塩を撒く行為だけでなく、「大安は吉日」「仏滅は凶日」などの日取りの善し悪しも気にしません。

本来の考え方からすれば、法要などの追善供養も行いません。

ただ、浄土真宗であっても、お葬式の帰りに塩を振る家はたくさん存在します。

浄土真宗以外の宗派の家が多く、地域の風習として清め塩が根付いている場合には、どのような宗派の家であっても玄関先に塩が用意される傾向があります。

清め塩は確かに神道由来の作法かもしれませんが、長く日本のお葬式に風習として根付いており、宗派関係なく,しきたりの一環として行われてきたといえるでしょう。

塩以外にもお清めの意味を持つものがある

葬儀の場では、塩以外にもお清めの意味を持つものがあります。

代表的なのが、酒とお米、そして豆腐です。

酒、とくに日本酒は塩と同様に、神道の儀式でお清めの意味を持ちます。

お葬式では、通夜振る舞いや出棺時など、さまざまな場面で「お清めの酒」が振る舞われます。

また、香典返しに選ばれることもあります。

日本酒はお米から作られます。お米は昔から生命力を象徴する食べ物として神聖視されてきました。

そんなお米から造られた日本酒だから、お清めに使われるのです。

また、アルコールは日常生活において実際に除菌・殺菌のため使われます。

そんなイメージからも、日本酒はその場を清めるとされてきました。

また、塩やお米と同様、真っ白な豆腐には邪気を払う霊力があるとされてきました。

出棺においてはかつて全国各地に「出立(しゅったつ、しゅったち)の膳」という会食を行うしきたりがあり、必ずといっていいほどお清めとして冷や奴が振る舞われました。

かつては塩を撒く以外にも帰宅時のしきたりがあった

とくに遺族が住んでいる家においては、お葬式から帰ってきたときに塩を振りかける以外のしきたりがあります。

今となっては廃れたもの、地域性が見られる珍しいものなどさまざまです。

あなたが見たことのある風習もあるかもしれません。

手桶と柄杓(全国的)

お葬式に出かけるとき、玄関先に手桶と柄杓を置いておきます。

帰ってきたら、玄関を開ける前に手桶から柄杓で水をすくい、両手を洗います。

その後、体に塩を振ります。

葬式のとき行った道とは違う道を通る(全国的)

葬儀式場から家に帰るとき、行きとは違う道を意識的に選びます。

ついてくる死者の霊が迷ってしまうようにという意味合いが込められています。

箕の中に塩と糠を入れておく(淡路島、岡山県など)

玄関先に箕(お米などを振るう農具)を置き、その中に塩と糠を混ぜたものを入れておきます。

葬儀式場から戻ったら、箕の中に片足を入れ、塩と糠を足の裏につけてから玄関に入ります。

生米を食べる(兵庫県、福井県など)

葬儀式場から帰ってきたとき、少しの生米を口に含みます。

お米の力により、死の世界に引き込まれないようにするしきたりです。

海岸で海水を浴びる(鹿児島県大島、長崎県壱岐)

お墓に行った人は帰りに海岸で海水を使うしきたりがありました。

塩水で清めるという意味が含まれていると考えられます。

葬儀式場の対応が変わってきた

最近では、塩を振る風習を知らない人や、お葬式を「穢れ」と捉えずしきたりをさほど気にしない人が増えてきました。

せっかく清め塩をもらっても、あまらせて捨ててしまうという声もよく聞かれます。

このような声を受け、最近の葬儀式場では会葬礼状にあらかじめ清め塩を挟まずに、たくさんの清め塩を籠に入れてホールの一角に置いておくケースが見られます。

清め塩が欲しい人は、籠から一つもらって帰るのです。

個々人の考え方を尊重しよう

清め塩に限らず、お葬式にまつわる色々な風習が「迷信」とみなされ、廃れる傾向にあります。

医療科学が発展し、また遺体衛生保全技術が進んだ現代においては、遺体やお葬式を行う空間を「穢れているもの」

「触れば自分も死へと引きずり込まれるもの」と考える人は少なくなったからです。

ただ昔の人の考えを「迷信」と一蹴してしまうと、親族間でわだかまりが生じる恐れがあります。

昔ながらの風習を大事にしたい人もいるし、もはや「お葬式の帰りには塩を振らないと気持ちが悪い」と感じる人もいるためです。

生き方が多様化している現代においては、個々人の考え方をお互いに尊重するのが大事ではないでしょうか。

なお、お葬式で配られる清め塩は、多くの場合食用ではありません。

塩を使わずに袋のまま残ってしまい、利用したいと考えたときは、注意書きをよく見てみましょう。

参考文献:『民俗小事典 死と葬送』吉川弘文館

この記事を書いた人

廣田 篤  広島自宅葬儀社 代表

葬儀業界20年、厚生労働省技能審査1級葬祭ディレクター。終活カウンセラー。大手冠婚葬祭互助会で通算1,500件の葬儀を担当。家族の在宅介護がきっかけで広島自宅葬儀社を設立。身内の死や介護の経験、数々の葬儀を通じての縁から「死」について考え、文章にすることをライフワークとしている。

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