葬儀受付に行ったらどんな受け答えをする?参列者、受付係それぞれの正解
更新:2024.04.25
葬儀に出席すると、香典を出すために受付へ並びます。
受付でどんな受け答えをしたら良いか、悩んでしまう人はいませんか。
受付に立つ人も、受付へ香典を出す参列者も、葬儀に不慣れなことがほとんどです。
それぞれの立場について、どんな受け答えが正解なのか解説します。
目次
葬儀では受付で香典を出す
葬儀では、一般的に香典を持参します。
香典には「霊前にお供えする金銭」「葬儀にかかる経済的負担を軽くするために持ち寄る金銭」という2つの意味合いがあり、日本の葬儀における一つの風習として根付いています。
香典は、喪主に直接渡すのではなく、葬儀式場に設けられた受付に出します。
受付で集められた香典は、奥の帳場で集計され、葬儀後に集計結果とともに喪主へ渡されます。
ただ、最近では親族や友人、会社関係が葬儀の手伝いをする風習が廃れ、帳場に人員が割けない場合があります。
その場合は受付を設けるだけで帳場が立たず、香典袋の束がそのまま喪主へ引き渡されます。
香典を用意する前に確認!香典辞退の葬儀ではない?
今、「受付に香典を出すとき、なんと受け答えをすれば良いのか」と悩んでいるとすれば、改めて確認していただきたいことがあります。
それは、参列しようとしている葬儀が香典を受け付けているか否かです。
最近、香典を辞退する葬儀が増えてきています。
香典を受け取ると香典返しが必要で、香典返しの用意や発送作業が遺族の大きな負担になるためです。
香典を用意する前に、もう一度葬儀案内を確認しましょう。
文章の最後などに「香典の儀は慎んで辞退申し上げます」などと書かれていれば、香典を用意する必要はありません。
「そうはいっても、香典を用意しないわけにはいかない」と考え、香典を辞退している葬儀に香典を持って行ってしまうと、遺族に負担をかけてしまうことになります。
遺族側には、用意していない香典返しをわざわざ発注し、一つだけ発送する作業が発生するためです。
よって、香典を辞退している葬儀に香典を持参するのはやめましょう。
もし葬儀案内に香典を辞退する旨の文章がなければ、香典を持参することができます。
受付で香典を出すときの流れ
受付で香典を出す流れは、おおむね以下の通りです。
1.香典を袱紗に入れて葬儀へ持参する
香典袋はそのまま持参するのではなく、袱紗(ふくさ)に包むのがマナーです。
袱紗とは小さな風呂敷状の布で、主に金封を包むのに使います。
布状の袱紗は包み方が難しいため、香典袋をそのまま挟み込める金封袱紗が便利です。
なお、赤やピンク、黄色などの華やかな色は慶事用なので避けましょう。
2.葬儀の30分~10分前までに葬儀式場へ行く
香典は葬儀の前に出すため、少し時間に余裕を持って式場に到着します。
大きな葬儀式場では、同時に複数の葬儀が行われることも多いため、看板をよく見て間違えないよう注意しましょう。
3.受付へ進み出る
葬儀を行うホールの手前に、受付が用意されています。
受付に並び、順番を待ちましょう。
受付に並ぶ前に、記帳を促される場合もあります。
4.受付に香典を手渡す
自分の番になったら、袱紗から香典袋を取り出して受付に差し出します。
その場で返礼品を受け取る場合と、退場するときに返礼品が渡される場合があります。
5.記帳を促されたら帳面に住所や氏名を書く
受付後、記帳を行います。
記帳がない葬儀もあります。
受付で香典を出すときは、どんな受け答えが正解?
葬儀の受付に香典を出すときは、自分や相手の立場によって、次のような受け答えをします。
自分が親族側ではなく、受付の人と顔なじみでもない場合
受付がどのような立場の人か知らない場合は、受付も親族側とみなし「このたびはお悔やみ申し上げます」や「このたびは誠にご愁傷様でございます」と声をかけます。
「お悔やみ」や「ご愁傷様」といった言葉がとっさに出てこない場合は、「このたびは」と告げたあと、言葉を濁して一礼するだけでも十分です。
香典を渡すときは「こちらをご霊前にお供えください」と言い、渡したあとはとくに何も言わず、一礼したら立ち去って構いません。
自分が親族側ではなく、受付の人が親族であると知っている場合
受付に自分が知っている親族が立っていたら、「このたびはお悔やみ申し上げます」や「このたびは誠にご愁傷様でございます」と声をかけます。
「このたびは…」だけでも、十分に気持ちが伝わります。
「こちらをご霊前にお供えください」と言って香典を渡し、もし受付の人と親しい間柄であれば「また後ほど、ご挨拶させてください」などと言って立ち去ります。
後ろが詰まっていればとくに、長話は禁物です。
自分が親族側ではなく、受付の人が親族ではないと知っている場合
受付の人が遺族の友人である、ご近所さんであるなど、親族ではないと知っている場合は、「お悔やみ申し上げます」や「ご愁傷様です」という挨拶が不自然なケースが多々あります。
「受付お疲れ様です」と言い、「こちらをご霊前にお供えください」と香典を渡しましょう。
渡したあとは、一礼して立ち去ります。
自分が親族側である場合
自分が親族側である場合は、「受付ご苦労様です」と、お手伝いをしてくれる受付の人をねぎらう言葉をかけます。
香典は「こちら、よろしくお願いします」などシンプルな言葉を添えて渡します。
とくに遺族に近い立場にある場合は、立ち去るときに「お手伝いありがとうございます。
本日はどうぞよろしくお願いします」と声をかけましょう。
親族や友人として葬儀の受付に立つ場合がある
親族に葬儀が発生すると、葬儀の受付をお願いされることがあります。
とくに自分が、故人や遺族と血の繋がっていない姻族の側だったり、血縁はあってもやや遠縁だったりすると、頼まれる可能性は高いかもしれません。
また、近隣や友人、会社関係者が受付をする風習が残っている地域もあります。
受付を依頼されたら、特段の事情がない場合は引き受けるのがマナーです。
葬儀の受付をするときの流れ
葬儀の受付は、以下のような流れで仕事が進みます。
1.体の前で軽く手を組み、深くお辞儀をして参列者を迎える
2.差し出された香典袋を両手で受け取る
3.黒いお盆などに香典袋を入れ、ある程度溜まったら帳場に渡す
4.記帳を促す
5.返礼品を渡す
記帳の風習がない地域や、返礼品を渡すタイミングが違うケースもあります。
葬儀の受付をするときの正しい受け答え
葬儀の受付をする人は、「ご参列ありがとうございます」と言って参列者を出迎えます。
香典が手渡されたら「お預かりします」と言い、返礼品を渡しましょう。
記帳が必要であれば、「どうぞ記帳をお済ませください」と促します。
ただし、顔見知りの親族などが受付に現れたとき、受付の立場から「ご参列ありがとうございます」と言うのは不自然な場合があります。
そんなときは「お疲れ様でございます」などと言いましょう。
また、受付は参列者からお手洗いやクロークの場所を尋ねられる場合があります。
スムーズに案内できるよう、事前に設備の位置を押さえておきましょう。
どちらの立場になっても、できるだけ自然に振る舞おう
葬儀の受付で言う言葉には、ある程度お決まりのものがあります。
ただ、相手との関係性によっては「ここでこの人に『お悔やみ申し上げます』は不自然」などと感じることがあり、そんなときは受け答えに迷ってしまうでしょう。
あらかじめ立場別にかけるべき言葉を決めておけば、どのような人が来ても対応できます。
なるべく自然に振る舞うには、受付の流れを頭に入れておくのも大事です。
故人を偲ぶ場で、しっかりとした応対ができるようにしましょう。
この記事を書いた人
奥山 晶子
葬儀社への勤務経験、散骨を推進するNPO「葬送の自由をすすめる会」の理事の経験、遺品整理関係の著書・サイト制作サポートなどから、終活全般に強いライター。ファイナンシャルプランナー(2級)。終活関連の著書3冊、監修本1冊。最近の著書は「ゆる終活のための親にかけたい55の言葉」オークラ出版。ほか週刊現代WEBなどサイトへの終活関連コラム寄稿、クロワッサン別冊「終活読本」の監修や、令和6年5月発刊「ESSE」6月号のお墓特集を監修している。