家族葬のとき近所はどうする?知らせるタイミングと知らせ方のヒント
更新:2026.01.08
近年、家族葬を選ばれるご家庭が増えています。
身内だけで故人を見送りたいという気持ちから、あるいは高齢化やコロナ禍を経て、葬儀のあり方そのものが見直されてきた背景もあるでしょう。
しかし、いざ家族葬を行うとなると、近所への対応をどうしようか迷うことがあります。
「参列はご遠慮いただきたい。
でも、何も知らせないのは不義理ではないか」
「知らせるとしたら、誰に?いつ?どんなふうに?」
この記事では、家族葬を予定されているご遺族の方に向けて、近所へのお知らせについての考え方や、実際の伝え方の工夫をご紹介します。
目次
「家族葬だから近所には知らせない」は正解?
家族葬とは近親者だけで行う小規模な葬儀を指します。
この場合の「近親者」に含まれる範囲は、ケースによってさまざまです。主な親族だけを呼ぶ場合もあれば、故人や遺族と親しくしている人などを含む場合もあります。
いずれにしても、会葬者を限定することで、静かに故人を偲ぶことができるという点が特徴です。
そのため、「家族葬だから、近所には知らせない」という判断も、もちろん間違いではありません。
実際、葬儀が終わるまでは近親者以外の誰にも知らせずに見送るのも珍しくありません。
しかし、地域とのつながりがある方にとっては、「知らせないこと」がかえって心に引っかかることもあるでしょう。
日頃から挨拶を交わしていたご近所の方、ゴミ出しなどで助け合っていた方、あるいは故人と親しくしていた方がいた場合、「何も知らされなかった」と後から知ることで、寂しさや戸惑いを感じられることもあります。
近所に知らせるメリットとデメリット
家族葬の場合、亡くなったことを近所に知らせるべきか、知らせないほうがよいかには、一律の正解があるわけではありません。
知らせたときのメリットとデメリットを比べた上で、遺族の負担にならない方を選ぶのがおすすめです。
近所に知らせるメリット
家族葬を選ぶ際、逝去を近所に知らせておくことのメリットは以下の通りです。
■感謝の気持ちを伝えられる
お知らせすることで、故人が生前お世話になった方、日頃から親しくしていた方に対して、「ありがとう」の気持ちを伝えられます。
■近所との繋がりを保てる
近所づきあいが今も大切にされている地域では、訃報を共有することが信頼関係の維持に繋がる場合があります。
もし故人が一人暮らしだったなどの事情で、葬儀後は近所と縁が切れてしまうようなケースでも、故人宅を管理していく必要があるなら、近所の方々は空き家管理の心強い味方です。
どなたかの連絡先を押さえておけば、災害などがあったときなどに連絡することで、空き家の状況を知ることができます。
■後の誤解を防げる
何も知らされずに後から訃報を知った場合、「なぜ教えてくれなかったのか」と感じる方もいます。
そうした気まずさを避けるためにも、最低限の報告は有効です。
近所に知らせるデメリット
家族葬を選ぶ際、逝去をご近所に知らせておくことのデメリットは以下の通りです。
■弔問や参列の希望が出てしまうかもしれない
家族葬の趣旨を理解していただけない場合、「どうして葬儀に出ることができないのか」
「せめてお顔だけでも拝見したい」と言われることがあります。
申し出を断ることに心苦しさを感じる方も多いでしょう。
■情報が広まりやすくなる
誰かに伝えたことで、意図せず町内全体に広まり、参列対象ではない方が葬儀式場へ現れる場合があります。
式場までいらした方の参列をお断りするのは現実的ではなく、結果的に一般葬のようになってしまうことも考えられます。
家族葬の静けさが損なわれるかもしれません。
■対応の手間が増える
逝去を知らせると、参列の希望の他にも「お花だけでも送りたい」
「香典を用意した」などと申し出があり、対応しなければならないケースが増えます。
それらの対応が、葬儀前の遺族の負担になってしまいます。
デメリットの解消方法
逝去を近所に知らせるデメリットは、少しの工夫で解消できます。
肝心なのは、情報の開示にメリハリをつけることです。近所に知らせる場合は、次の4つを徹底しましょう。
1. 感謝の気持ちを伝えながら、家族葬であることをはっきり言う
故人の逝去を伝えたら、生前お世話になったことについて感謝の意を述べましょう。
その上で、今回は家族葬であることをきちんと言います。
「家族葬」という言葉では察せない人もいるため、「親族だけの葬儀で、ご近所さんを含め、親族以外の方はご遠慮いただいています」とはっきり言いましょう。
2. 葬儀日程や式場は教えない
亡くなったことを知っても、葬儀日程や式場を知らなければ、駆けつけることはできません。
日程についての情報を、参列対象者以外には絶対に教えないよう徹底しましょう。
遺族だけでなく、親族にも念押ししておきます。
3. 弔問、香典、供花、供物の辞退を伝える
「葬儀には出られなくても弔意を伝えたい」と、弔問や供物の申し出があったり、申し出もないまま突然訪問されたりすることが考えられます。
4. 1と3の内容を文書にして代表者に渡す
「逝去したこと」「家族葬であること」「弔問・供物類は辞退すること」を書いた手紙を作り、近所の代表者に渡しましょう。
代表者は「班長」「組長」などが当てはまりますが、どなたが代表か分からない場合は、自分がよく知っている方にまずは逝去を伝え、訃報を誰に託したら良いか尋ねます。
広く知られるのを避けたい場合には、「回覧板などで広くお知らせするのは避けたい」と代表者に伝えた上で、お知らせ状を渡しましょう。
伝えるタイミングは葬儀前日もしくは葬儀後すぐ
家族葬の場合、近所に故人の逝去を伝えるタイミングは、葬儀の前日か、もしくは葬儀後すぐがいいでしょう。
以後の近所づきあいをより円滑にしたいと望む場合は、葬儀前のタイミングがおすすめです。
ただし、お知らせが早すぎると、葬儀前に情報が広く出回ってしまう可能性も考えられます。
亡くなってすぐではなく、なるべく通夜や葬儀の前日あたりにお知らせすると安心です。
「どうしても葬儀前に情報を出したくない」と不安を感じる方は、葬儀後でも構いません。
葬儀が終わった夕方、もしくは葬儀の翌日に挨拶回りをしましょう。
故人の近所に馴染みがなければ、近隣を訪ねて代表者の家へ案内してもらい、お知らせします。
近所に故人の逝去を伝えるときの例文
故人の逝去を伝えるときは、お知らせ状を添えて直接お話しするのが一番丁寧ですが、難しい場合はお知らせ状を郵便受けに入れる形でも構いません。
電話でお伝えするのもよいでしょう。
お知らせ状はかしこまった文章でなくてよく、簡単な手紙やメモ書き、A4用紙へのプリントなどでも差し支えありません。
お知らせ状の例文は、以下のとおりです。
葬儀前のお知らせ
「このたび、○○が永眠いたしました。
故人の遺志と家族の意向により、家族葬にて静かに見送らせていただきます。
ご参列はご遠慮いただいておりますが、生前のご厚情に心より感謝申し上げます。
なお、弔問、香典、供花、供物の類は辞退申し上げます。△△(喪主名)」
葬儀後のお知らせ
「このたび、○○が永眠いたしました。故人の遺志と家族の意向により、家族葬にて静かに見送らせていただきました。
お知らせが遅くなり大変申し訳ございません。
生前のご厚情に心より感謝申し上げます。
なお、弔問、香典、供花、供物の類は辞退申し上げます。△△(喪主名)」
「こうしてほしい」をきちんと伝えるのが大事
近所に逝去を知らせるとき、最も大事なのが「言葉を尽くす」ことです。
生前お世話になった感謝を伝えるのはもちろんですが、「家族葬です」と言うだけでは、真意が伝わらないことが多々あります。
「家族葬と聞いたけれど、近所は身内みたいなものだから葬儀に出た方がいい?」
「家族葬でも、近所の決まりだから香典は送った方がいい?」と迷い、行動に移してしまう人がいるのです。
遺族がきちんと意向を伝えれば、近所の方々も理解してくれます。
「あまりはっきり断ると失礼かも」と、言葉をぼかすのが一番良くありません。
さらに意向がしっかり伝わるように、なるべく文書を用意しましょう。

この記事を書いた人
奥山 晶子
葬儀社への勤務経験、散骨を推進するNPO「葬送の自由をすすめる会」の理事の経験、遺品整理関係の著書・サイト制作サポートなどから、終活全般に強いライター。ファイナンシャルプランナー(2級)。終活関連の著書3冊、監修本1冊。最近の著書は「ゆる終活のための親にかけたい55の言葉」オークラ出版。ほか週刊現代WEBなどサイトへの終活関連コラム寄稿、クロワッサン別冊「終活読本」の監修や、令和6年5月発刊「ESSE」6月号のお墓特集を監修している。













