墓じまいとは?費用や手順、家族がしなければならないことを解説

更新:2023.10.16

墓じまいとは、家族やご先祖様をお祀りしてきたお墓を整理することです。

少子高齢化や移動社会と呼ばれる現代において、故郷のお墓をいつまでも維持することができない人が、墓じまいに踏みきります。

人生で一度あるかないかの墓じまい。

いざ取り掛かろうとしても何からすればいいのか分からないという方がほとんどです。

「本当に墓じまいをしてもいいのかな?」

「どれくらいの費用がかかる?』

こうした疑問をお持ちのあなたのために、この記事では、墓じまいとは何なのか、墓じまいでしなければならないことや費用について解説いたします。

これまで大切なご家族やご先祖様を守ってきてくれたお墓です。

この記事を参考にしていただき、心を込めて、丁寧に、墓じまいしていただきたいと思います。

墓じまいは、「墓石の解体」+「お骨の引っ越し」

まず大前提として押さえてもらいたいのは、墓じまいとは単に墓石を解体処分することだけではないということです。

「墓じまい」という言葉の響きから、墓石の処分だけをすればいいと思いがちですが、あわせて考えなければならないのが、お墓の中にあるお骨をどこに移すか、ということです。

つまり、お墓をしまうことよりも、そのあとにどこにお骨をお引っ越しするかが大切なのです。

お骨の引っ越し先として挙げられるのが、最近よく耳にする納骨堂、樹木葬、永代供養などです。

もちろん新たにお墓を建てる方もいます。

墓じまいでは、墓石の解体とお骨の引っ越し、この2つを同時に考え、進めていかなければならないということを念頭に入れておきましょう。

これらを踏まえて、具体的に何をしていくべきか、詳しく解説していきます。

墓じまいでしなければならないことと費用

墓じまいをするためには、次の事柄をしなければなりません。

1.新しいお墓の準備

2.墓地の返還

3.改葬許可の申請

4.解体処分する墓石の魂抜き

5.墓じまい工事

6.新しいお墓への納骨

これらを同時進行でしなければならないため、なかなか大変ではありますが、ひとつずつ丁寧に解説していきますので、どうぞ最後まで読み進めてみてください。

1.新しいお墓の準備

お骨を引っ越すことを「改葬」と呼びますが、現代において改葬先(=新しいお墓)には次の5つが考えられます。

・納骨堂

・樹木葬

・永代供養墓

・散骨

・新しく墓地を購入する

▪️納骨堂

納骨堂とは建物の中に設けられた納骨施設のことです。形状は、ロッカー型、仏壇型、自動搬送型などさまざまです。

お寺が管理していることが多く、その安心感から特に人気を集めています。納骨堂には次に挙げるようなメリットがあります。

・お寺に守ってもらえる安心感

・屋内でのお参りなので天候に左右されずにお参りできる

・市街地など、立地の良い場所にもある

・万が一あとが途絶えた時もお寺がそのまま供養してくれる

納骨堂の形状はさまざまです。少人数用のロッカー型、数世代にまたいで納骨できる仏壇型などがあります。

最近では納骨期間を設け、期間が過ぎるとそのままお寺で永代供養するところが多いようです。

費用は、プランや供養の方法によってさまざまですが、安くて30万円前後、高額なものになるとだと100万円前後でしょう。

▪️樹木葬

樹木葬とは、草花や樹木に向かって手を合わせるお墓のことです。

もとは自然の里山を墓地とした「里山型」のことを指していました。

しかし、墓地としての使用許可がおりづらい、里山だとどうしても地方や郊外になりお参りがしづらいなどの理由から、あまり普及していないのが現状です。

昨今私たちがよく耳にする樹木葬はいわゆる「霊園型」と呼ばれるもので、都市型霊園に設けられた

樹木葬区画を指すのが一般的です。従来型の墓石と同じように、区画を購入しておのおのの樹木を植える「個別区画」、既存のカロートに遺骨を納める「カロート区画」、他の人と同じ場所に埋葬される「合祀型」などさまざまです。

樹木葬と呼ぶものの、お骨を納める場所(カロート)は石で作られ、石材と樹木の折衷型と呼ぶ方が正しいと言えるものも少なくありません。

樹木葬には次のような特徴が挙げられます。

・草木に向けて手を合わせられる

・墓石の建立に比べて費用がかからない

・墓じまいの費用負担が少ない

・風雨などに弱い

樹木葬の費用も、種類や形状によってさまざまですが、納骨堂同様、安いところだと30万円、高いところだと100万円前後が相場です。

▪️永代供養墓

永代供養墓とは、複数の方のお骨をひとまとめに埋葬供養するためのお墓です。

「集合墓」や「合祀墓」とも呼ばれます。

これまでは家族や先祖が同じお墓に入ることが当たり前でしたが、あととりがいない世帯や墓守が期待できない世帯では、永代供養墓に遺骨を合祀をして、お寺に供養してもらいます。

永代供養墓の形状も、すぐ土中に埋葬する、一定期間骨壷の状態で安置するなど、さまざまです。

お骨の扱いはお寺によって異なるので、必ず事前に確認しましょう。

通常、年に数回の合同法要を執り行うだけでなく、家族が希望するのであればそのつど供養をしてくれます。

永代供養墓の費用相場は5万円から20万円前後です。

▪️散骨

散骨とは、パウダー状にした遺骨を海や山などに撒くことです。

お墓からお墓への引っ越しではないので、厳密には「改葬」にあてはまらないのですが、墓じまいしたあとのお骨の行き先としてにわかに注目を集めているので、この記事でも取り上げます。

1990年代から始まった散骨はいまでも法的な根拠が曖昧ですが、現状ではお骨を粉骨(パウダー状にする)すればよいとされています。

焼骨のまま散骨にしてしまうと遺体遺棄罪に触れてしまいますし、何よりも故人様の尊厳のためにも絶対にやめましょう。

散骨は次のような人たちに選ばれています。

・あととりがおらず、お墓を建てられない人

・従来型のお墓がいやな人

・お寺に縛られたくない人

・大自然に還ることを望む人

散骨場所として最も多いのは海です。山や川への散骨も可能ですが、周辺住民に対してもっとも迷惑がかからないのが海への散骨です。

実際に、散骨代行業者のほとんどが海洋散骨を実施しています。

海洋散骨は主に、業者に散骨を任せる「委託散骨」、複数の家族で沖合に出る「合同散骨」、ひとつの家族が船をチャーターする「個別散骨」に分けられ、費用相場はそれぞれ5万円、15万円、25万円でしょう。

▪️新しく墓地を購入する

引っ越し先でも墓石がいいという人は、新しく一般墓区画を購入します。

墓地は、公営霊園、民営霊園、寺院墓地の中から選びます。

墓地の価格は地価や面積によって異なりますが、50万円から100万円でしょう。

これに加えて墓石の設置費用が伴いますが、いまある墓石の移設、新しい墓石の建立のいずれかが考えられます。

▪️いまある墓石の移設

これまで祀ってきた墓石を新しい墓地に移します。

長らくご先祖様が手を合わせてきた墓石を引き続きお祀りしたいという想いを持っている人も多いようです。

移設で気をつけなければならないのは、新しい墓地区画に墓石が納まるかどうかです。

お墓は主に、手を合わす対象となる石塔部分と、土台や境界などの役割を果たす外柵部分の組み合わせでできており、前者を移設、後者を新設するというのがほとんどです。

移設にかかる費用は現場の状況や、移設の距離などによって大きく異なりますが、墓石の解体費用、石材の運搬費、新しい墓地の工事費用などを考えると、100万円前後の費用がかかります。

▪️新しい墓石の建立

一方、新しくお墓を建てる場合も同様の費用がかかるでしょう。

最近では墓地と墓石のセット区画もあり、こうしたところでは安価に設定されている傾向にあります。

墓地の返還

新しいお墓が決まりましたら、いまのお墓の墓じまいを具体的に進めていきます。

不要なった墓地は管理者に返還しなければなりません。

霊園であれば管理事務所、お寺であれば住職に申し出ます。

墓地を自身のものと勘違いしている人も少なくありませんが、墓地を所有するというのは「永代使用権」が認められているにすぎません。

ですから、他の人への貸与、譲渡、転売などはできないので注意しましょう。

返還手続きはさほど難しいものでもありませんし、費用がかかるものでもありません。

ただし、寺院墓地の場合で檀家をやめなければならない時には「離檀料」を納める必要が出てくるかもしれません。

離檀料は、これまでお世話になったお寺に感謝を込めて納めるお布施のことです。

ですから本来は離檀料を納めるか納めないか、納める場合に金額をいくらにすべきかはこちら側が決めることです。

離檀料に対する考え方はお寺によってさまざまで、離檀料を受け取らないというお寺もあれば、一方的に金額を伝えてトラブルに発展する事例も耳にします。

お布施ですから、金額は任意で構わないのですが、強いて相場を挙げるなら5万円から20万円くらいだと言われています。

改葬許可申請

お骨を他の墓地に移すためには、改葬元の役所から改葬許可証を得なければなりません。

新しい霊園や寺院も、納骨を認めることができません。

申請はそこまで大変なわけではなく、必要な条件さえ整えば誰でも簡単にできます。主に次のことを行います。

(1) 改葬元の自治体が指定する「改葬許可申請書」に必要事項を記入する。

(2) 改葬元の墓地管理人に「納骨証明書」を発行してもらう。(その人が納骨されていたことを証明する書類であればよい)

(3) 改葬先の墓地管理人に「受入証明書」を発行してもらう(「墓地使用許可証」など、お骨を受け入れることが分かる書類であればよい)。

(4) 上に挙げた(1)(2)(3)を役所に提出し、「改葬許可証」が発行される

(5)「改葬許可証」を改葬先の墓地管理人に提出する。

古いお墓でよくあるのが、どのご先祖様のものか判別がつかない、土に還ってしまい遺骨がないなどの事例。

こうした特殊なケースではまずは役所に相談してどう対応すればいいかを確認します。

解体処分する墓石の魂抜き

墓石の解体撤去工事は、必ず僧侶による魂抜きをしてもらいます。

「性根抜き」「閉眼供養」「遷座法要」とも呼ばれます。

墓石の中には仏さまやご先祖様の魂が込められていますから、魂抜きのされていない墓石の工事は受け付けないという石材店も少なくありません。

魂抜きは10分から30分程度で済むものです。

お布施の相場は3万円から5万円くらいです。

墓じまい工事

石材店による墓じまい工事は、さまざまな重機を用いて行われます。

所要時間は墓地の状況によってさまざまですが、1日掛かり、さらには数日にまたぐこともあります。

墓じまい工事の費用も、現場によって異なりますが、、墓地面積1㎡あたり、10万円や15万円が相場だと言われています。

墓地面積は墓地の間口と奥行きの掛け算で算出できます。

もしも間口2mで奥行が2mの場合、2×2=4㎡。すると相場はこれに10万円から15万円を掛け算して、40万円から60万円になるという計算です。

もちろん墓地の中にあるお墓の大きさや量などのボリュームによっても費用が変わってくるので、石材店と現地に同行して見積もりしてもらいましょう。

墓じまいは、子孫としての責任を果たす立派な行い

墓じまいを決してバチあたりだなんて思わないでください。

お墓が遠方で、近くにお墓を引っ越すことで、これまで以上に頻繁にお参りができます。

あととりがおらず、これ以上墓守ができない人は、墓じまいしてお骨を永代供養してもらうことで、安心感や安堵感がもたらされます。

「ご先祖様がこれまで大事にしてきたお墓を墓じまいしてもいいのかな」と悩んでいる方はとても多いのですが、お墓の引っ越しや墓じまいでバチがあたるはずがありません。

むしろ、子孫としての責任を果たす立派な行為です。

墓じまいすらされずに放置されてしまっているお墓、いわゆる無縁墓は、日本中を見渡してごまんとあります。

それに比べると、自分たちが元気なうちに墓じまいをするということは、それだけご先祖様を、そしてお墓を大切にしていることの表れでもあるのです。

この記事を書いた人

廣田 篤  広島自宅葬儀社 代表

葬儀業界20年、厚生労働省技能審査1級葬祭ディレクター。終活カウンセラー。大手冠婚葬祭互助会で通算1,500件の葬儀を担当。家族の在宅介護がきっかけで広島自宅葬儀社を設立。身内の死や介護の経験、数々の葬儀を通じての縁から「死」について考え、文章にすることをライフワークとしている。

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