グリーフワークって?喪失のプロセスと、大事な存在を亡くした人にかける言葉

家族や恋人、ペットなど、大切な存在を失った友人に、かける言葉が分からない。

忌引き明けの同僚に、どう接するべきだろう。そんなふうに悩んでいる人はいませんか。

喪失の深い悲しみ(グリーフ)が落ち着きを見せるまでの過程を、グリーフワークといいます。

グリーフワークのプロセスを学ぶことで、悲しみの中にいる人にどう接するべきかを知りましょう。

グリーフワークとは、身近な存在を失ったときの心のプロセス

身内など、大事な存在と死別したときの大きな悲しみを「グリーフ」といいます。

このグリーフが時間を経て和らぎ、落ち着きを見せるまでの心のプロセスが「グリーフワーク」です。

知り合いや同僚が大事な人を亡くしたとき、多くの人はどう言葉をかけて良いか分からず、腫れ物に触るような対応をしてしまうことがあります。

あるいは、無意識にその人を傷つける言葉をかけてしまうことも。

グリーフワークについて知っておけば、「この人は、今、こういう段階にいるのかもしれない」と推察し、適切な言葉がけができるようになるでしょう。

12段階に分かれる悲嘆のプロセス

悲嘆のプロセスを提唱したのは、死生学の権威であるアルフォンス・デーケンです。彼はドイツ生まれのイエズス会司祭で、長く日本の大学で死生学について教鞭を執りました。日本の終末期医療、ホスピスの普及に多大な貢献をした人物です。

デーケンによると、悲嘆のプロセスは以下の12段階に分かれます。

精神的打撃と麻痺状態

愛する人を失ったショックで一時的に現実感覚が麻痺し、思考力がぐっと落ち込みます。

否認

死を否定し、「きっとなにかの間違いだ」と思い込みます。

パニック

身近な人の死に直面した恐怖により、極度のパニック状態に陥ります。

怒りと不当感

「なぜ私だけがこんな目にあうのか」と、不当な仕打ちを受けたという怒りがこみ上げてきます。

敵意と恨み

周囲の人や故人に、やり場のない感情をぶつけます。

罪意識

「こんなことになるのなら、生きているうちに、もっとこうしてあげれば良かった」と過去の行いを悔やみ、自分を責めます。

空想形成、幻想

食事を余分に作る、故人の部屋を整理せずそのままにしておくなど、愛する存在がまだ生きているかのようにふるまいます。

孤独感と抑うつ

葬儀などが一段落し、落ち着いてくると、紛らわしようのない孤独と寂しさが襲ってきます。

精神的混乱と無関心

空虚な気持ちから、あらゆることに関心を失います。

あきらめ-受容

辛い現実をきちんと受け入れる段階です。

新しい希望-ユーモアと笑いの再発見

ユーモアや笑いに反応するようになります。ここまで来れば、悲嘆のプロセスをうまく乗り切ったといえます。

立ち直りの段階-新しいアイデンティティの誕生

愛する人を失う前の自分とは違う、新しいアイデンティティを獲得し、より成熟した人間へと成長します。

(参考:『よく生き よく笑い よき死と出会う』アルフォンス・デーケン、新潮社

実際にその人がどんな段階にいるかは、置かれた状況によっても違う

死別の悲しみにいる方と会話している様子

悲嘆のプロセスは、必ずしも死別の時から始まるとは限りません。

大事な人の余命宣告を受けたときが悲嘆のスタートとなり、実際にその人が亡くなる頃には、すでに別れを受容しているといったケースもあります。

親の認知症などで介護が始まったときが悲嘆のスタートとなる人は、長い介護生活の中で徐々に親の死を受け入れてゆく一方で、実際に死を目の当たりにするとまたプロセスが逆戻りすることも。

このように、人によって、また状況によって悲嘆のプロセスは違います。

亡くなった人が、友人や同僚にとってどんな人だったのか、どのような死を迎えたのかを知り、友人や同僚の立場になって考えてみることで、適切な言葉がけが見つかることでしょう。

かける言葉がみつからないときの対処法3つ

大事な人を亡くした知人に、どんな言葉をかけたら良いか分からないときは、以下に紹介する3つの言葉を利用するのはいかがでしょうか。

「なんと言葉をかけたら良いか分からないけれど」と率直に気持ちを伝える

まずは「なんとか、気持ちに響く言葉を」と構えることなく、どんな声がけが適切か分からないという気持ちを素直に伝えることから始めましょう。

お悔やみの手紙においても、「あまりに突然の知らせに、言葉もありません」といったフレーズは一般的に使われます。

「大変でしたね」と気遣いを

どのような死を迎えたとしても、葬儀の手配や死後の手続きは、等しく大変です。

よって「大変でしたね」は、相手の事情がよく分からないときにも使える気遣いの言葉といえるでしょう。

「何か力になれることがあったら言ってください」で締める

あなたの力になりたいというメッセージを伝えることは、大事な存在を亡くしたばかりの人にとって、大きな支えになります。

友人なら「力になれることがあったら、何でも言ってね。さみしいときは話を聞くからね」

同僚であれば「辛いときは私が●●の仕事を手伝うこともできると思うので、いつでも頼ってください」などと、自分ができることを具体的に示すのがおすすめです。

できれば避けたい言葉3つ

大事な存在を亡くしたばかりの人に言ってしまいがちながら、なるべくであれば避けたい言葉があります。

大変だろうけれど、頑張ってください

どんなに頑張りたくても頑張れない気持ちになっている遺族にとっては、負担になる言葉です。

締めの言葉として使いがちですが、「力になれることがあれば言ってください」などの表現に置き換えましょう。

早く元気を出してください

「頑張ってください」同様、気持ちの負担になる励ましです。

とくに注意すべきなのが、ペットを失った人への声がけ。ペットを飼ったことのない人の中には、「犬や猫が亡くなったくらいでそんなに悲しむなんて理解できない」と思う人もいるでしょう。

しかし、ペットを亡くしたとき「まるで我が子を失ったよう」と例える人もいるほど、ペットは家族の立派な一員です。

「残念だったけれど早く忘れて、次のペットを迎えて元気を出して」といった声がけは避けましょう。

いつから(いつなら)●●できますか?

喪失から鬱状態になっている人に「いつから仕事復帰できますか」と尋ねたり、親などを亡くした友人に「いつなら遊びに誘っていい?」と聞いたり。

ついついやってしまうことの一つですが、「いつ、悲しみから立ち直れるか」という問いは、遺族にとってかなりの負担です。

めどになる期日が欲しければ「●週間後に、また連絡を入れますね」など、自分の方から提示しましょう。

上手に伝えられれば相手の支えになる言葉

同じ経験をした人の言葉が、遺族の力になるケースがあります。

例えば、子どもを亡くした親の交流会は全国各地に存在しており、同じ辛さを吐き出し、痛みを分かち合うことで悲しみをやり過ごしていくための自助グループとして知られています。

もしもあなたが相手と同じような経験をしていたなら、あなたの言葉が相手の支えになる可能性があります。

ただ、体験の伝え方には配慮が必要です。「私にも色々あったけれど立ち直った。だからあなたも頑張って」という話の流れになってしまうと、かえって遺族の負担になることも。

人によっては、誰の話も聞きたくない、放っておいて欲しいという気持ちになっている場合もあります。

「実は私も数年前に夫を亡くして、大変でした。いつでも話を聞くからね」などと手短に伝えておけば、「話を聞きたい」という気持ちが芽生えたときには、きっと相手の方から連絡が来るでしょう。

そのときは、求めに応じて体験を分かち合いましょう。

グリーフワークを理解し、心のこもった声がけを

相手がどんな悲嘆プロセスにいるかを理解し、適切な声がけができれば、それに越したことはありません。

しかしもっと大事なのが、自分の「何といったら良いか分からない」気持ちを率直に伝えることです。

そして、「頑張って」「元気になって」といった、相手に求める言葉は避けましょう。率直で心のこもった声がけが、あなたの気持ちを伝えます。

この記事を書いた人

奥山 晶子

葬儀社への勤務経験 NPO「葬送の自由をすすめる会」の理事の経験から、終活関連に強いライター。終活関連の著書3冊、監修本1冊。最近の著書は「ゆる終活のための親にかけたい55の言葉」オークラ出版。

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