後飾り祭壇には二段と三段がある!どちらの飾り方もわかりやすく解説
更新:2025.05.30
後飾り祭壇には、二段のものと三段のものがあります。
いずれも基本的な飾り方は同じですが、二段の場合はスペースが足りず、一方で三段の場合はスペースが余り、困ることもあるでしょう。
二段の場合と三段の場合、いずれも詳しい飾り方を徹底解説します。
なお、地域の風習や宗派によって飾り方が違う場合もあるため、周囲に相談しながら飾るのがおすすめです。
後飾り祭壇の基本的な飾り方
最初に後飾り祭壇の基本的な飾り方を解説します。
基本は、至ってシンプルです。
上には「故人にまつわるもの」を安置する
上段、または一~二段目には、故人にまつわるものを安置します。
お参りのとき、祈りを捧げる本体となるものを上に安置するという考え方です。
具体的には、位牌、遺影、遺骨があります。
下には「お供え」を飾る
下段、または二~三段目には、故人へのお供えを飾ります。
いただいた供物のほか、線香も広い意味では「故人にお供えするもの」です。
具体的には、果物、菓子、弔辞、弔電、焼香のためのロウソクや線香類を飾ります。
つまり、「上の段に安置されている故人ゆかりのものに向かって、お供えやお祈りをする」というイメージで、ものを配置していきます。
このイメージを守れば、基本的な配置に迷うことはないでしょう。
後飾り壇の飾り方(二段)
基本を踏まえた上で、まずは二段飾りの飾り方を解説します。
上段:故人にまつわるもの(遺影、位牌、遺骨)
上の段は、祈りの対象となるものを安置する段です。
一番上の段に、向かって左から遺影、位牌、遺骨の順番に並べます。
位牌が中央に来るよう調整するのが大事です。
白木の位牌は背が高いため、ぐらつきが心配になる人もいるかと思われます。
後飾り壇は日常的に動かすようなものではないのであまり心配はいりませんが、周囲で子どもが活発に動き回るなど、位牌が倒れやすい環境の場合は、位牌の足底部分に粘着テープを貼るなどの対策を検討しましょう。
祈りの対象である位牌に粘着テープを貼ることに、戸惑いを覚える人もいるかもしれません。
しかし何回も倒れた結果、破損する可能性もあります。
また、白木の位牌は四十九日法要のとき塗りの位牌に魂を入れ替え、処分するものです。
安全性の確保を何より大事にしましょう。
下段:お供えにまつわるもの(供物、弔辞、弔電)
下の段には、故人へのお供えを配置します。
供物としていただいたお菓子や果物、お水を両脇に配置し、中央には黒いお盆を置いて、その上に弔辞や弔電を重ねましょう。
後飾り壇の手前に経机を置くスペースがない場合は、焼香のための仏具を下段に配置します。
下段の中央に、ロウソクと線香立て、小さい「おりん」などの仏具を置きます。

陰膳(画像のような、故人のためのお膳)を置いても構いませんが、置くものが多く配置できなかったり、お膳が大きい場合は不安定になったりすることもあります。
その場合は無理せず、後飾り祭壇の手前にテーブルを置いてお供えするのがおすすめです。
後飾り祭壇の手前:お参りのためのもの(ロウソク、線香、線香立てなど)
後飾り祭壇の手前に経机(小さなテーブルでも可)を置き、お線香をあげるための道具を配置します。
ロウソク、線香、線香立ての他、小さな「おりん」や一輪挿しを置く場合もあります。
なお、供花は花瓶に立てて後飾り祭壇の手前か脇に置きます。
線香立ての前に座布団を敷き、大きい「おりん」や木魚は、座布団の左右に並べます。
後飾り壇の飾り方(三段)
後飾り祭壇の飾り方は、三段の場合も、二段と基本は変わりません。
二段よりもゆったり飾れるため、飾り方を工夫するのがポイントです。
一段目:遺影、遺骨
一段目の左側に遺影、右側に遺骨を置き、中央は空けておきます。
二段目:中央に位牌、左右にお供え
二段目の中央に位牌を安置します。
位牌を二段目に安置する理由は、白木位牌の背が高く、一段目では不安定になりがちだからです。
ただ、本来は位牌がお参りの対象として最も大事なものであり、菩提寺によっては位牌を一段目に安置するようアドバイスをいただくかもしれません。
その場合は、菩提寺のアドバイス通りにしましょう。
位牌の両脇を飾るお供えには、果物類や菓子を高く積んだものなど、高さのあるもの、見栄えのするものが適しています。
お水や陰膳をこの二段目に置くケースもみられます。
三段目:仏具とお供え
三段目の中央には線香立てやロウソクなど、お参りのための仏具を配置します。
仏具の左右には、菓子や陰膳、お水、いただいた弔辞・弔電などのお供えを配置します。
とくに置くものがなければ、仏具だけでも構いません。
後飾り祭壇の手前に、座布団を置きます。
後飾り祭壇の手前に机を置いてもよい
お供えするものがたくさんあったり、日頃から経机に仏具を置いてお参りをする習慣があったりする場合は、後飾り祭壇の手前に机を置き、そこへ仏具を配置します。
二段目と同様、供花は花瓶に活けて、後飾り祭壇の手前か脇に置きます。
机の前に座布団を敷き、大きい「おりん」や木魚は、座布団の左右に並べます。
基本を守れば飾り方は自由でよい
以上、後飾り祭壇の飾り方について解説しました。
飾り方に迷う人のため詳細に解説しましたが、「故人にまつわるものは上段、お供え物は下段」という基本的なルールを守れば、飾り方は自由です。
地域や菩提寺の考え方も参考にしながら、故人を偲ぶ気持ちを一番大切に飾り、心を込めて日々のお参りを行いましょう。

この記事を書いた人
奥山 晶子
葬儀社への勤務経験、散骨を推進するNPO「葬送の自由をすすめる会」の理事の経験、遺品整理関係の著書・サイト制作サポートなどから、終活全般に強いライター。ファイナンシャルプランナー(2級)。終活関連の著書3冊、監修本1冊。最近の著書は「ゆる終活のための親にかけたい55の言葉」オークラ出版。ほか週刊現代WEBなどサイトへの終活関連コラム寄稿、クロワッサン別冊「終活読本」の監修や、令和6年5月発刊「ESSE」6月号のお墓特集を監修している。