納棺のときの服装はどうする?しきたりやタイミング別に解説

更新:2022.07.07

納棺を行うときの服装には、決まりがあります。しきたりやタイミングにより2つのパターンがあり、1つめは「地味めの平服」、もう1つは「喪服」です。いずれのパターンについても、服装や持ち物、髪型などの身だしなみについて解説します。

納棺とは故人に最後の衣装を着せ、棺に納める儀式

納棺の服装について解説する前に、まずは納棺そのものについてご案内しましょう。納棺とは、棺に故人を納めること、およびその儀式をいいます。納棺作法は地域や宗派によって違うものの、おおむね以下のような流れで行われます。

逆さ水を用意する

まずは故人を清めるためのお湯とタオルを用意します。お湯は、たらいに冷たい水を入れた後、熱湯を入れて人肌程度にまで温度を上げます。日常生活において、お湯の温度を適温にするためには熱いお湯に水を差しますが、葬儀では真逆に、冷たい水へ熱い湯を差します。このことから、これを「逆さ水」といいます。

布団に休んでいる故人の肌を清める

葬儀社等の案内によって、身内が中心となり故人の腕や手、足、顔など肌が出ている部分を拭き清めます。逆さ水にタオルを浸して絞り、血縁の濃い人から順番に故人を清めていきます。「湯灌(ゆかん)」といって、専門の湯灌師が安置場所へバスタブを持ち込み、故人の体や髪を洗い清めることもあります。

最後の衣装に着替えをさせる

故人が着ているものを脱がせ、あるいは着ているものの上からさらに衣服をかぶせるようにして、最後の衣装に着替えさせます。葬儀社が「死装束」として用意するのは白い着物ですが、故人や遺族の希望により、生前気に入っていた服に着替えをすることもあります。

顔と髪を整え、メイクをする

葬儀社が案内し手ほどきする中、遺族が中心となって故人の顔まわりを整えます。クシで髪をといた後、男性であればひげを剃り、眉を整え、顔色が明るく見える程度にメイクします。女性であれば生前の本人の好みに従ってメイクをします。遺族の中でも女性が担当することが多いでしょう。

納棺する

故人を布団から棺に移します。血縁の近い男性陣が中心となって行います。納棺後は布団をかけ、「あの世へ持って行って欲しい」思い出の品を顔まわりに捧げます。ただし、火葬を行うため、思い出の品は燃えるものに限られます。

焼香する

棺を祭壇の前まで移動させた後、棺の前に焼香台を置き、血縁の近い順に焼香して終了です。僧侶が読経する場合もあります。

以上のように、納棺は儀式とはいえ参加型なので、大きな動きがあり、お湯やメイク用品、焼香の灰などで衣服が汚れる可能性もあります。

納棺のときの服装は、しきたりやタイミングによって違う

納棺の服装は、次の2つのいずれかです。しきたりや、納棺のタイミングによって服装が違ってきます。

平服の場合

納棺時の服装が平服となるのは、以下のような場合です。

 ◇地域のしきたりによって平服と決められている

 ◇通夜の前の晩までに納棺がある

 ◇遺族のみなど近親者だけが納棺に立ち会う

喪服の場合

納棺時の服装が喪服となるのは、以下のような場合です。

 ◇通夜の直前に納棺がある

 ◇地域のしきたりによって喪服と決められている

以上のように、納棺時の服装は、地域のしきたりによって決められているケースが少なくありません。納棺が通夜の直前で、通夜までに着替える時間や場所がなさそうな場合は喪服を着用せざるを得ませんが、そうではないなら、喪主に服装を問い合わせておきましょう。喪主自身が迷う場合には、葬儀社や、納棺に参加してくれる近隣の人に確認します。

納棺の服装その1:平服

納棺の服装を「平服で」もしくは「喪服以外で」と指定された場合には、喪服ではない地味な服装とします。ただし、「平服」とは、カジュアルな服という意味ではありません。また、弔事の一環なので、派手な色味を避けなければなりません。納棺時の平服としてOKな服装と、NGな服装は、以下の通りです。

【納棺時の平服としてOKな服装】

・黒、グレー、紺、茶色などの暗い色合い

・無地、もしくは大きなプリントや刺繍が入っていないもの

・光沢のないもの

・動きやすいもの

【納棺時の平服としてNGな服装】

・ジーンズ

・ざっくりとしたニット

・胸元が開きすぎているトップス、タイトスカート、ミニスカートなど動きにくい服装

ニット素材はカジュアルなものなので、平服では避けるのがマナーですが、冬場の納棺では黒いニットを着用する人も多く見られます。ただしざっくりとしたローゲージは避け、上品なハイゲージを選びましょう。また、カーディガンも、細かいことをいえばニットの一種ですが、羽織っても動きに制限が出ないため納棺の場ではよく着用されます。

女性の平服は「フォーマルではないワンピース」や「スカートのスーツ」としているマナー辞典が多いようです。もちろん、納棺以外であればその通りなのですが、故人の体のまわりでお世話をすることになる納棺のときは、動きやすさを優先しましょう。パンツスタイルもOKです。

男性の平服についても、「ブラックフォーマルではない黒のスーツ」としているマナー辞典が多いと思われます。基本的にはそれでよいですが、やはり動きやすさを重視する観点から、納棺のときにはジャケットを脱ぐといった対応をする地域もあります。周りを見ながら、臨機応変に服装を調節しましょう。

納棺の服装その2:喪服

納棺後、そのまま通夜となる場合や、納棺のときにもきちんと喪服を着るべきという考えの地域では、通夜や葬儀用の喪服をそのまま着用します。男性と女性、両方の喪服について解説します。

【男性の喪服】

ブラックフォーマルのスーツを着用します。光沢のない黒のスーツです。ネクタイ、ベルト、靴下、靴、鞄など、小物も全て黒で統一します。小物についても、なるべく装飾や光沢がないものを選びましょう。仏式の通夜では、数珠を持参します。

【女性の喪服】

ブラックフォーマルのアンサンブルを着用します。ストッキング、靴、鞄、髪留めなどの小物も全て黒で統一し、装飾や光沢のないものを選びます。アクセサリーは、結婚指輪の他、一連の真珠だけが許されています。二連以上になると「不幸が重なる、連なる」という意味になるためNGです。仏式の通夜では、数珠を持参します。

2パターンに共通する納棺時の服装マナー

平服の時も、喪服の時も、共通する服装マナーがあります。

動物の皮革を使った小物を持たない

殺生を思わせるため、動物の皮革を使った小物を、可能な限り持たないようにします。このためとくに女性の場合は、ブラックフォーマル専用として布鞄が売られているので活用しましょう。靴についても、黒い布で巻かれたパンプスを着用するのが正式ですが、これを持っている人はあまり多くありません。男女とも、靴については革製でもやむを得ないとされます。

ファーのついた上着や小物を持たない

とくに冬、気をつけたいのがファーのついている上着と小物です。リアルファーでなくても、動物の殺生を思わせるため、弔事の場にはふさわしくありません。コートの帽子部分などにファーがついているときは、取り外せるものであれば必ず外しましょう。

納棺時は髪型やネイルにも気をつけて

納棺の際は、通夜や葬儀の時よりも、他の親族と近づいて作業をする機会が多くなるものです。「髪が乱れている」「派手なネイルをしている」といった感想を持たれないよう、身だしなみには気をつけましょう。肩よりも長い髪は一つに縛り、ジェルネイルや派手な色味のネイルは落としておきます。

求められる納棺作法に則り、故人をしっかり弔おう

以上、納棺時の服装について解説しました。納棺の儀式は、故人の最後の身支度を手伝うものです。儀式の作法は、地域によって細部が違ってきます。葬儀社の案内や、お手伝いしてくれる近隣の人の動きをよく見て、心を込めたお手伝いを行いましょう。

この記事を書いた人

廣田 篤  広島自宅葬儀社 代表

葬儀業界20年、厚生労働省技能審査1級葬祭ディレクター。終活カウンセラー。大手冠婚葬祭互助会で通算1,500件の葬儀を担当。家族の在宅介護がきっかけで広島自宅葬儀社を設立。身内の死や介護の経験、数々の葬儀を通じての縁から「死」について考え、文章にすることをライフワークとしている。

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