お葬式での写真撮影は不謹慎?知っておきたい撮影時のマナーを解説
更新:2026.05.14
お葬式は、故人を偲び、最後のお別れをする大切な儀式です。
その場で写真を撮ることについて、「不謹慎では?」
「どこまで許されるの?」と迷う人は少なくありません。
スマートフォンが当たり前になった今、撮影の機会は増えていますが、周囲の参列者が違和感を覚えてしまうような行動は避けたいものです。
この記事では、お葬式で写真撮影はどこまで許されるのか、撮影してよい場面・避けるべき場面、故人の写真を撮るときのマナーまで、分かりやすく解説します。
お葬式での写真撮影は増えてきた
お葬式では、地域によっては祭壇の前で親族の集合写真撮影を行う風習があります。
親族が一堂に会する貴重な機会であることが理由ですが、こうした地域を除けば、かつては「葬式で写真を撮るなんて縁起が悪い」という考え方が一般的でした。
まして故人にカメラを向けることは、タブー視されることも少なくありませんでした。
しかし最近では、「記念に祭壇や故人の写真を撮りたい」と希望する遺族が増えてきました。
この変化の理由については、以下の3点が考えられます。
家族葬の普及
かつては縁のある人全てを参列対象とする「一般葬」が主流でした。
しかし現代では、親族中心のお葬式である「家族葬」が普及し、気心の知れた人たちだけで静かにお葬式をすることが増えてきています。
一般葬では、さまざまな価値観を持つ参列者が集まるため、写真撮影に驚く人がいるかもしれません。
一方、家族葬は外部の目がないため、写真を撮りたいと感じた家族がその思いを行動に移しやすい環境です。
また、家族葬は故人との最期の時間を大切にする場として設けられることから、「記念として写真に残したい」という気持ちが強く働くとも考えられます。
スマホの普及
カメラ付のスマホが普及し、「今日は写真を撮るぞ」とわざわざカメラを持参しなくても、写真を撮りたいと感じたときにシャッターを切ることができる世の中になりました。
この手軽さが、お葬式の写真を撮ることへの心理的なハードルを下げていると考えられます。
故人やお葬式に対するイメージの変化
以前は、故人やお葬式に対して「畏れ」や「祟り」といったイメージを持つ人が多く、扱いを誤ると良くないことが起こるのでは、という意識が根強くありました。
しかし現代では、こうした宗教的・呪術的な感覚を持つ人が減り、故人を「怖い存在」として捉える考え方も薄れつつあります。
お葬式のどんな場面なら写真を撮ってもいい?

世の中の意識が変わってきたからといって、お葬式のどんな場面でも写真に撮ってよいわけではありません。
次のマナーに注意しましょう。
遺族の許可があることが前提
お葬式では、遺族の許可がなければ、どのような場面であってもカメラを取り出して撮影するのはNGです。
なお、自分が遺族の一人である場合も、無断で撮影するのは避け、他の遺族と相談するようにしましょう。
式場スタッフにも一言声をかける
「喪主の許可を得て、祭壇の撮影をしています」など、式場スタッフにも一言声をかけておきましょう。
「他のお葬式の迷惑になる場所の撮影はNG」など、式場側にもルールが存在します。
スタッフの案内に従い、ルールを守って撮影すると安心です。
供花・供物の記録とすること
式場の中でも、写真を撮る対象として最も許されやすいのが、供花や供物です。
供花や供物には名札が掲げられているため、誰からどんなものをいただいたか、記録するために写真に収めることが多々あります。
お供えを贈ったものの参列できなかった人に「こんな形で届きました」と報告するためにも、写真撮影することがあります。
儀式中ではないこと
式の最中に撮影すると、カメラのシャッター音が儀式の邪魔をしてしまったり、参列者の視界をさえぎってしまったりして、集中を乱すことがあります。
ただし遺族から「儀式の様子を撮影してほしい」などと依頼された場合は、依頼された人に限り、儀式中であっても撮影することができます。
「人」ではなく祭壇など演出をメインに撮ること
お葬式の写真を撮影することには反対しなくても、「自分が写真に写り込むのは嫌」という考えの人がいます。
また、泣いている姿を撮られたくないという人もいるでしょう。
さらに、僧侶や神官など宗教者の方を無断で撮影することも失礼にあたります。
無用なトラブルを避けるため、祭壇、棺、思い出コーナーなど、式場演出をメインに撮影しましょう。
長時間、カメラを構えないこと
1つの場面につき2、3枚の撮影にとどめ、長時間カメラを構えるのは控えましょう。
「思った通りの写真が撮れないから」と粘っていると、その場の空気を乱すことになりかねません。
故人の写真を撮るときのマナー
最も難しいのが、故人の写真を撮るときのマナーです。
写真撮影そのものがタブー視されてきた歴史があるため、たとえ家族葬であっても、周囲への配慮を欠かすことはできません。
遺族の許可を取る
まず大前提として、必ず遺族の許可を得ることが必要です。
写真を撮りたいと希望する人が遺族の一員であっても、他の遺族と相談の上で撮影しましょう。
「記念に撮影しておきたい」など、必ず納得のいく理由を添えます。
故人の顔をアップにしない
安らかに眠っている故人の顔をアップにして撮影するのは避けます。
遺族の多くは、故人の姿を静かに見守りたいと考えているためです。
顔のアップは生々しさを感じさせ、遺族の心情を傷つけるかもしれません。
祭壇や棺全体、花に囲まれた姿など、穏やかな雰囲気が伝わる構図を意識するといいでしょう。
故人に一礼、合掌してから撮影する
故人にカメラを向ける前に、一礼して合掌し、敬意を表しましょう。
故人には、写真撮影の許可を取ることができません。
そのため、精一杯の礼を尽くしてから撮影するのが、遺族に対しての礼儀でもあります。故人と親しかった場合は「撮影させていただきますね」
「おじいちゃん、写真撮るからね」などと故人に一声かけると、周囲の空気が和らぎます。
撮影した写真を遺族に見せる
どんな写真を撮影したのか、遺族にきちんと見せましょう。
遺族の安心感に繋がります。
SNSなどの外部共有は絶対にやめよう
お葬式で撮影した写真を、外部に共有することは避けましょう。
とくにSNSのように、不特定多数の人が閲覧できる場所にアップする行為は、遺族の気持ちを深く傷つける可能性があります。
お葬式はあくまでプライベートな空間であり、そこに写る故人や参列者の姿は、外部に公開されることを前提としていません。
また、写真には故人の顔や遺族の表情、祭壇の様子など、極めてセンシティブな情報が含まれます。
本人の了承を得られない以上、プライバシーの観点からも公開は厳禁です。
さらに、意図せず写真が拡散されてしまうと、遺族が望まない形で故人の情報が広まるリスクもあります。
「良いお式だった」
「きれいな祭壇だった」といった善意の気持ちがあったとしても、外部共有は控えるのが礼儀です。
写真はあくまで家族の記録として大切に扱い、外に出さないことが故人と遺族への最大の敬意につながります。
遺族とコミュニケーションした上で撮影しよう
広島自宅葬儀社では、出棺直前のお別れの献花が終わった後、お棺の中がお花でいっぱいになった故人を囲むようにご遺族が並び、我々スタッフがご遺族のスマートフォンで記念写真を撮らせていただくことがあります。
葬儀の始まる前に祭壇正面にご親族に並んでいただいて記念写真を撮らせていただくこともあります。
どうしてもカメラを持ってシャッターを押す撮影者がご遺族になってしまうと、写真に全員が写らないため、代わりに我々スタッフがお手伝いさせていただいています。
「よろしければ、お撮りしますよ」とお声がけさせていただき、希望するご遺族様に対してのみ行なっているものですが、「撮って欲しい」という声は半分以下、それでも少からず需要があると感じています。
大切なご家族様とのお別れはとても辛いものですが、亡くなられた方はこれからも、それぞれの心の中で生き続けていけるものでもあります。
お葬式の写真を大切な記録として撮影することが、ある方にとってはこれからの人生において前向きに歩める手助けになることもあります。
お葬式での写真撮影には、明確な正解があるわけではありません。
だからこそ、誰のために、どんな目的で、一度考えてみる必要があるでしょう。
大切なのは、故人を思う気持ちと、遺族や参列者への配慮を忘れないことです。
迷ったときは「この行動は誰かを傷つけないか」
「故人に失礼ではないか」を基準に判断すれば、きっと後悔のない形でお別れの時間を過ごせます。
そして必ず、遺族に相談した上で判断しましょう。

この記事を書いた人
廣田 篤 広島自宅葬儀社 代表
葬儀業界23年、広島自宅葬儀社代表。厚生労働省認定技能審査1級葬祭ディレクター。終活カウンセラー。前職大手葬儀社では担当者として 1500 件、責任者として1万件以上の葬儀に携わる。実母の在宅介護をきっかけに広島自宅葬儀社を立ち上げて現在に至る。広島市内だけでなく瀬戸内海に浮かぶ島々から、山間部の世羅町、神石高原町まで広島県内あらゆる地域の葬儀事情に精通する広島の葬儀のプロ。身内の死や介護の経験、数々の葬儀を通じての縁から「死」について考え、文章にすることをライフワークとしている。













