通夜の晩は葬儀場へ泊まらないといけないの?泊まる場合はどんな時?

更新:2022.06.05

通夜の始まりと現代の通夜

通夜の始まり

古代では、現代のように医師がきちんと死を判定するのとは異なり、死を必ずしも正確には特定できませんでした。

ですから時間をかけて死を判定する必要があったのです。

人が死んだ事実を周囲の人々が納得するには、一定の時間がかかりました。

そのため、すぐに遺体を処理してしまうのではなく、一定期間は生きているかのように扱ったのです。

生と死の境界線と言えるこの一定期間が通夜の始まりでした。

夜伽(よとぎ)の風習

いつしかこの生と死の境界線の期間中、夜を徹して死者を見守るしきたりが定着しました。

これを夜伽(よとぎ)と言います。

枕元でお経が読まれ、念仏が唱えられました。枕経の始まりです。

通夜の晩を故人のそばで見守るというのは、夜伽の風習からきたものです。

遺族にとって故人の死という事実を受け入れるのにも時間がかかります、心情的にはまだ生きている家族ということも珍しくありません。

時間をかけて死を受け入れていく夜伽という風習は、人間が悲しい出来事に直面した時、悲しみを乗り越えるまでのプロセスとして、科学的にもとても理に適ったものでした。

現代の通夜

現代の通夜は、夜間に行われる告別式と化しています。

しかしそれでも遺族や身近な方々が故人と共に過ごす最後の時間であるということに変わりはありません。

少しでも遺族や身近な方々が最後の時間を思い残すことがなく過ごせるように葬儀社を中心として周囲は配慮します。

また家族によっては、それまでの長い闘病生活で疲れていることや睡眠不足で疲れている場合もありますし、精神的にダメージを受けているので事情に合った過ごし方が求められます。

通夜における現代の泊まらない事情

葬儀会館で葬儀を行うことが主流になった今、通夜の晩の過ごし方にも変化が見られます。

通夜の晩に泊まらないというケースが普通になっている地域もあります。

それには下記の要因が考えられます。

消防法によって、しきたりが変化

葬儀会館で通夜を行う際、消防法により、ローソクの火は午後9時以降になると消さなければならないという事情が地域によってはあります。

令和元年にローソクの火が原因で火事になったケースは、全国で年間427件(総務省消防庁発表)あったそうです。

このようなことから特定防火対象物にあたる葬儀会館は、通夜の晩のローソクの火の取り扱いに厳重に注意を配っていると言えます。

遺族はローソクの番をする必要がないため、通夜の晩に葬儀場へ泊まらなくても構わない状況が生まれました。

宿泊施設のない葬儀会館もある

地域によっては、宿泊設備がない葬儀会館も増えてきました。

宿泊設備がない葬儀会館で通夜を行う場合、通夜の晩は自ずと葬儀場へは泊まらない選択となります。

通夜において葬儀場へ泊まらないという選択があることが認知される要因となりました。

泊まる、泊まらないはどちらが正解とはならない

現在、通夜の晩に泊まる、泊まらないに関しては、どちらが正解とは言えない状況です。

地域によって当たり前が異なるのは興味深いところです。

東京では泊まらないのが主流

現在、東京の葬儀会館では通夜の晩に家族が泊まらないのが当たり前です。

通夜式が終わり、落ち着くと帰宅して明日に備えるのが一般的です。

故人は葬儀場が責任を持ってお預かり安置となります。

広島では泊まるのが主流

一方、広島の葬儀会館では通夜の晩に家族が泊まるのは今も当たり前です。

故人を一人にすることがないように、家族の誰かがそばにいるということが多いです。

葬儀会館においては、宿泊設備が無い施設は殆どありません。

宿泊設備が無い葬儀会館は、利用する方にとって利便性が高いとは言えず、設備が劣っている葬儀会館と映ります。

しかし少しずつですが、泊まらないという選択をされるご家族も年々増加傾向にあります。

泊まる場合はどんな時?

では通夜の晩に葬儀場へ泊まる場合は、どんな時が多いのでしょうか。

想いがあって、体が問題ないなら泊まる

故人への想いがあり、そばにいたい。最後の時間を共に過ごしたいという気持ちがあれば、通夜の晩に泊まるという選択はぜひ行ってください。

ただし、体調面で不安がある場合は、無理のない範囲で行いましょう。

葬儀場によって常備している宿泊用布団の数が異なります。

事前に確認しておくと良いでしょう。

県外から駆けつけている場合

県外から実家の葬儀へ駆けつけている場合などは、通夜の晩の宿泊先を確保する必要があります。

実家に泊まる場合、葬儀場に泊まる場合、ホテルなど宿泊施設を利用する場合などが考えられますが、葬儀場に宿泊設備があるのであれば、選択肢の一つとなるでしょう。

家族間で話したいことがある時

例えば故人に子供が3人いたとします。

普段なかなか会う機会のない兄弟であれば、通夜の晩は久しぶりに話をする機会にもなります。

葬儀後のこと、今後の事について、全く兄弟間で話が出来ていない場合、通夜の晩を共に過ごす時間を持つことで、相手の考えを聞くことができます。

通夜の晩に泊まるのは限られた人数なので、周囲を気にすることなく、双方で考えていることを確認し合うことができます。

泊まらない場合はどんな時?

葬儀場に宿泊設備がない場合、夜9時に施錠される葬儀会館の場合は、泊まることはありませんが、その他にどんな場合に泊まらない選択になるのか、見ていきましょう。

翌日の準備や用事があって家に帰らなければならない

翌日の準備や家での用事がある場合、家に帰るという選択をする方もいらっしゃいます。

用事とはペットのこと、仕事のこと、家事のこと、さまざまです。

留守をしているので家が気になる

通夜、葬儀のために2日間家を留守にするのは空き巣が心配ということで、どなたかが様子を見る目的も兼ねて家に帰るという選択をされる場合もあります。

遠方の親族が泊まるから自分達は家に帰る

遠方からの親族に葬儀場の宿泊設備を提供して、近郊に住んでいる親族は泊まらずに帰宅するというケースもあります。

葬儀場の宿泊設備は限られた人数しか泊まれません。

そのため血縁の近い人間が葬儀場に泊まるという判断だけでなく、家が近い人は家に帰る、家が遠い人は葬儀場に泊まるという判断になることもあります。

寝不足など体調を整えるために帰宅する

ずっと看病していた方の中には、通夜の前日から寝ていないという状況の場合もあります。翌日の葬儀告別式を万全に迎えるために、通夜の晩は他の親族に任せて、体調を整えるために家に帰るという判断をすることもあります。

最後に

通夜の晩に泊まるのか、泊まらないのか、どちらが正しいなどはありません。

一度きりの大切な夜になります。

後で後悔しない過ごし方をそれぞれが送ることが大切です。

そのためには自分の都合だけでなく、他の親族の都合もお互いが把握することも大事になってきます。

親族間で十分に話し合って決めていくことが望ましいでしょう。

この記事を書いた人

廣田 篤  広島自宅葬儀社 代表

葬儀業界20年、厚生労働省技能審査1級葬祭ディレクター。終活カウンセラー。大手冠婚葬祭互助会で通算1,500件の葬儀を担当。家族の在宅介護がきっかけで広島自宅葬儀社を設立。身内の死や介護の経験、数々の葬儀を通じての縁から「死」について考え、文章にすることをライフワークとしている。

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