家族葬とは?家族葬が普及した背景、一般葬との違いや注意点を解説

更新:2023.04.14

お葬式といえば家族葬が当たり前の時代となりました。

かつては、家族や親族に加えて、職場関係の方、ご近所の方など、故人や遺族とつながりのある多くの方が集まり、故人を送り出したものです。

しかし最近ではごく近しい身内だけで葬儀を行うことの方が多く、かつては当たり前だった参列者を招いて行われる葬儀にわざわざ「一般葬」という呼び名があてがわれているほどです。

この記事では、家族葬が現代の葬儀のスタンダードとなっていった理由やその背景について詳しく解説いたします。

さらには、一般葬との違いや、家族葬だからこそ気を付けなければならない点についても言及いたします。

家族葬を検討されている方、葬儀についてより深く知識を得たい方は、どうぞ最後まで読み進めてみて下さい。

家族葬は令和の葬儀のスタンダード

昭和の終わりから平成のはじめくらいまでは、葬儀に多数の人が集まるのはごく当たり前の光景でした。

会社の同僚や、ご近所の家に不幸があれば、たとえ故人本人のことをそこまで知らなくても、香典を包み、お通夜に足を運んだものでした。

当時はそれが当たり前の慣習とされていたため、いまのように「一般葬」という呼び名すらありませんでした。

葬儀の簡素化は、1990年代、つまり平成に入ったころから、まずは都市部から始まります。

家族葬が進んだ3つの理由

そこには、バブル経済の崩壊による長期にわたる景気低迷、非正規雇用者が増加するなど職場における“社縁”の希薄化、近隣の人たちとのつながりを持たない都市生活者たちの“地縁”の希薄化などの理由が見られます。

要は「お金がない」「会社へのコミットメントもない」「近所に知り合いがいない」といった生活様式が、そのまま葬儀のスタイルに反映されていったのです。

葬儀の縮小化は、徐々に全国に広がり、平成の後半にもなると、もはや家族葬が一般的な葬儀となり、「一般葬」と名づけられた旧来の葬儀スタイルの方が珍しくなっていきました。

家族葬と一般葬の違いがよく分かる2つの映画

このような葬儀スタイルの変遷は、大ヒットを記録した2つの葬儀映画を見比べると一目瞭然です。

1984(昭和59)年に公開された伊丹十三監督の『お葬式』では、葬儀は自宅で行われ、近所の人たちが弔問だけでなく炊き出しのお手伝いをしていますし、我々葬儀社としては皮肉なことに、いかがわしい存在として葬儀社と僧侶の姿が描かれています。

その24年後、2008(平成20)年に公開された滝田洋二郎監督の『おくりびと』には、立派な祭壇も、近所の弔問も描かれません。

あくまでも故人の亡骸を中心にした家族の物語が印象的に語られています。

この2つの映画を比較するだけでも、旧来の葬儀(一般葬)と家族葬の雰囲気の違いを感じられることでしょう。

家族葬と一般葬の違い

家族葬とは、家族や親族を中心にした小規模葬儀をひとまとめにした呼び方です。

一方で、一般葬という呼び方は、家族葬が普及しだしたことによって旧来の葬儀スタイルを指すために生まれました。

ですからそもそも一般葬に明確な定義はありません。

一般葬の3つの条件

一般葬は、次の3つの要件を満たしたものだと考えられます。

・【参列者】家族以外の関係者(友人、知人、会社関係、ご近所など)にも参列してもらう

・【日程】通夜と葬儀の2日間にまたいで行う

・【宗教】僧侶を招いて、読経・供養をしてもらう

この3つを満たす葬儀は、平成の初頭までは当たり前のように行われていましたが、平成以降、人々の意識の変化により、急速にその姿が見られなくなります。

人々の中で、「そこまで葬儀にお金と手間を掛けなくてよいのでは」という考え方が生まれ、これが大きく支持されていくのです。

こうして葬儀スタイルの多様化が進みます。

先ほど挙げた一般葬の3要素を省略あるいは縮小化する形で、いまでもよく耳にする次の3つの葬儀スタイルが生まれます。

家族だけで行う家族葬

参列者の範囲を縮小化したものが家族葬です。

従来の葬儀では親族やそうでない人も、一律で訃報を流していました。

しかし、故人の顔を知らないであろう人たちの義理の参列を辞退し、身内だけで行う葬儀が支持されていきます。

どこまでの人に声をかけるかは喪主の判断にゆだねられるため、ひとことに家族葬と言ってもその内容はさまざまです。

直系親族だけの小規模のものから、兄弟姉妹、叔父叔母、甥や姪などの傍系親族にも参列してもらい、30名〜40名近くの人が集まる家族葬もあります。

通夜を省略する一日葬

通夜を省略して日程を縮小化したものが一日葬です。

通夜は一般参列者の弔問の場としての役割が大きかったため、「家族葬ならお通夜は不要ではないか」という考え方が広まり、一日葬が認知されていきました。

ただし、一日葬にしてもそこまで費用が安くならない、故人と過ごす最後の時間である通夜を大切に感じる人が多い、などの理由から、一日葬を選ぶ人は一定数に限られているのが実情です。

僧侶を呼ばない無宗教葬

僧侶を呼ばずに宗教性を排したものが無宗教葬です。

僧侶による読経や仏式の焼香に代わる形で、弔辞や献花などで故人を送り出します。

伝統的な儀式よりも個人の嗜好を重んじる方、葬儀費用を節約したい方に選ばれています。

しかし、死者供養という観点から、僧侶へのニーズは依然として根強く、一般的に普及しているとはいいがたいでしょう。

家族葬の注意点

故人は家族とのつながりだけで生きてきたわけではありません。

友人や知人、会社でお世話になった人、ご近所で普段会話を交わしていた人など、さまざまなつながりがあったはずです。

家族葬にするということは、こうした人たちと故人との最後のお別れの場を、喪主の判断によって断ってしまうことを意味します。

だからこそ、家族葬を実施する際、どこまでの人に声をかけて、どこからの人に声をかけないかは、慎重に判断しましょう。

また、参列辞退の旨を直接伝えなければならない時は、丁寧に言葉を選んで、こちらの想いを伝えることが大切です。

声をかける人とかけない人の線引き

声をかける人をどこで線引きするかは、とても大切な問題です。

親、子、孫のように、直系の親族だけでこじんまりとした家族葬もあれば、親戚を呼んで30〜40名に膨れ上がる家族葬もあります。

このあたりは、生前の故人の交友関係や家としてのあり方が大きく左右するので、こうしなければならないという決まりはありません。

また、家族葬とはいうものの、「特にお世話になった近所の方々だけには来てもらおう」

「故人の親友だったあの人には、最期の瞬間に立ち会ってもらおう」など、家族や親族以外の人が参列するケースも少なくありません。

声がけするべきか、しないべきかと迷った方に対しては、声がけをしておく方が無難です。

故人とのお別れの場は一度きりですから、あとから「どうして知らせてくれなかったの」と言われてしまうと、ずっと後悔が残ってしまうことでしょう。

弔問辞退の伝え方

家族葬にしたいけれど、故人が亡くなったことだけは伝えなければならないというシーンもあります。

ひとつは、学校や職場などで、忌引き休暇を申請する時です。

このような時には、正直に身内の不幸、葬儀の日程を伝えた上で、家族だけで行うため、参列は辞退する旨を伝えましょう。

家族葬が広く普及しているため、特に問題なく遺族の意向を尊重してくれるでしょう。

もうひとつは、生前にお世話になった方です。

「葬儀は家族葬でしたいけど、事前に知らせておいた方がいい」という相手には、まずは故人の逝去を伝え、故人の遺志によって家族葬で行う旨を丁寧に伝えましょう。

それでも参列したいと言うようであれば、参列を受け入れるのが賢明です。

さきほどもお伝えした通り、故人は家族以外のさまざまな人とのつながりの中で生涯を送ってきたからです。

きっと故人もその方が参列することを喜ぶことでしょう。

ただしそこに正解はありません。

参列を辞退するか受け入れるか、さまざまな状況を鑑みた上で、最終的には喪主が判断します。

事後報告の伝え方

葬儀を終えたあとの事後報告は、特に慎重に行ないます。

伝え方は、直接会って話す、電話、メール、書状などさまざまです。

いずれにせよ、まずは事後報告となったことをお詫びし、その上で、どうして家族葬にしたかの経緯を相手に伝えることが大切です。

家族葬が主流の昨今ですから、多くの方は遺族の意向を受け入れてくれるでしょう。

しかし故人とのつながりが深かった方の場合、「どうして教えてくれなかったの」といった反応を示すこともあるので、慎重に言葉を選んで、故人や遺族の想いや事情を話しましょう。

まとめ

いかがでしたでしょうか。

家族葬が一般化していった背景や、家族葬の実情について解説させていただきました。

家族葬は、現代人の生活様式の延長として当然の葬儀スタイルかと思われます。

しかし、記事の中で何度も言及したように、故人はさまざまな人とのつながりの中で生きて、生かされてきました。

そうした方々との最後のお別れの場をなくしてしまっていることにも意識を向けておきましょう。

だからこそ、参列辞退や事後報告の時には慎重な言葉選びが大切ですし、万が一参列したい、香典を納めたいという申し出があった際には、その想いを受け入れる柔軟さも大切です。

家族葬のことで疑問に思うことがありましたら、どうぞお気軽に広島自宅葬儀社にご相談下さい。

この記事を書いた人

廣田 篤  広島自宅葬儀社 代表

葬儀業界20年、厚生労働省技能審査1級葬祭ディレクター。終活カウンセラー。大手冠婚葬祭互助会で通算1,500件の葬儀を担当。家族の在宅介護がきっかけで広島自宅葬儀社を設立。身内の死や介護の経験、数々の葬儀を通じての縁から「死」について考え、文章にすることをライフワークとしている。

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