日蓮宗とは?日蓮の生涯、法華経の教え、葬儀や仏事のマナーも詳しく解説

更新:2023.06.29

日蓮宗は、鎌倉時代に日蓮が開いた日本仏教の一宗派です。

開祖の名前が宗派の名称になるくらい、日蓮の圧倒的なカリスマ性はいつの時代も人々を惹きつけて止みません。

信奉者が多く、さまざまな宗派に分派しているのも日蓮宗の特徴です。

この記事では、日蓮宗がどのような宗派なのか、日蓮の生涯、日蓮宗が大切にしている『法華経』、さらには日蓮宗の葬儀の流れや、仏事マナーや作法について、分かりやすく解説いたします。

日蓮宗とは

日蓮宗は、鎌倉時代の僧侶・日蓮によって開いた宗派です。

『法華経』をよりどころにし、「南無妙法蓮華経」のお題目を唱えることで知られています。

本山は身延山久遠寺

身延山久遠寺

日蓮宗の総本山寺院は身延山久遠寺(山梨県)です。

佐渡の流罪が解かれた日蓮(1274年。当時52歳)が、弟子や信徒の教会育成のため、さらには国土安穏を祈念するために草庵を構えたのが始まりです。

日蓮宗のその他の代表的な寺院は以下の通りです。

・池上本門寺(東京都大田区) 宗派の事務機関にあたる宗務院がある

・誕生寺(千葉県鴨川市) 日蓮誕生の地

・清澄寺(千葉県鴨川市) 日蓮が得度出家し、宗派を開いた場所

こうした大寺院以外にも、日本全国に約5300もの日蓮宗寺院があります。

本尊は「久遠実成の釈迦如来」

日蓮宗の本尊は「久遠実成の釈迦如来」です。

釈迦如来とは、仏教を開いた実在の人物であるゴータマ・シッダールダを神格化した存在ですが、法華経の中では、過去・現在・未来の永遠に渡って衆生を救う仏さまとして釈迦如来が語られており、これを「久遠実成の釈迦如来」と呼んでいます。

根本経典は『法華経』

『法華経』とは、紀元前後にインドで生まれた経典で、これまでに成立した経典の集大成であることから「諸経の王」とも呼ばれています。

特に、中国や日本をはじめとする東アジアで広まった大乗仏教の思想の基盤となり、日本仏教の礎を築いた天台宗の最澄も『法華経』を大切にしました。

天台宗はもともとは「天台法華宗」と呼ばれていたほどで、天台宗僧侶として比叡山で修行を積んだ若き日の日蓮も、法華経の教えを学び、その神髄に触れたのです。

法華経についてはのちほど詳しく解説いたします。

開祖は日蓮上人

日蓮宗を開いたのは、その名の通り日蓮(1222-1282)です。

疫病、飢饉、武家の台頭など、社会不安が増大し、末法の世の到来を信じて不安におののく人々に対し、「法華経に帰依すべし」という力強い布教で多くの信者を集めました。

その激しい布教活動は、権力や既存の体制から激しい弾圧を受けたものの、それにもめげずに布教にまい進する日蓮の姿が熱狂的な信者を集め、いまでも多くのファンを持つ、日本仏教界屈指の高僧です。

分派の多い日蓮宗

日蓮宗は分派が多いのが特徴です。分かりやすい教義(法華経)、分かりやすい実践(南無妙法蓮華経のお題目)、そして信者全員が法華経の教えを広めること(菩薩行)を是としているため、活発な布教活動が行われます。

その布教の激しさのため、宗派内でも考え方や教えにズレが生じ、そこからさまざまな流派に分かれていったという歴史的経緯があります。

たとえば昨今よく耳にする創価学会、霊友会、立正佼成会なども、日蓮宗が分派してできあがった新宗教です。

日蓮宗の根本経典『法華経』とは

『法華経』とは、正式名称を『妙法蓮華経』と呼び、紀元前後、つまりお釈迦様が亡くなって約500年経ったあとのインドで成立した経典です。

『法華経』は日本仏教のベース

当時の仏教は小乗仏教(出家者が救われる教え。南アジアや東南アジアに広まる)と、大乗仏教(すべての人が救われる教え。東アジア、中国や日本に広まる)とに、大きく潮流が分かれていましたが、『法華経』は大乗仏教の集大成的な経典と位置づけられています。

天台宗が「天台法華宗」と呼ばれるほどに最澄は『法華経』の思想を大切にしていました。

その天台宗の総本山である比叡山から、鎌倉新仏教の始祖たちがそれぞれの宗派を立ち上げていったことは、日本仏教史の中でも、とても重要なことです。

『法華経』の重要性を標榜する天台宗や日蓮宗はもちろんのこと、それ以外のあらゆる宗派(浄土宗の法然、浄土真宗の親鸞、臨済宗の栄西、曹洞宗の道元など)も、この『法華経』から多大な影響を受けていると言っても過言ではありません。

分かりやすいたとえ話とドラマティックな物語

『法華経』は全28章で構成されており、前半の14章(迹門)では、お釈迦さまの教えをさまざまなたとえ話を通して語られ、後半の14章(本門)では、お釈迦様が過去、現在、未来を永久に生き続ける「久遠実成の本仏」であることが語られます。

また『法華経』の特徴として、信者や読者が理解しやすくするために、たとえ話の多用やドラマティックな演出、物語性の強さなどが特徴として挙げられます。

『法華経』の3大思想

法華経の教えを要約すると、次の3つにまとめることができます。

・久遠本仏 お釈迦様は永遠の命を生きて、私たちに法を教え、救って下さる。

・一乗妙法 小乗も大乗も、出家者も在家者も含めてすべての人の救済を説く。

・菩薩行道 法華経の教えを広めることが、仏さまになるための道である。

圧倒的カリスマ・日蓮の生涯

日本仏教史の中でも、日蓮の存在感とカリスマ性は際立っています。

鎌倉時代初期、千葉県の漁村に生まれた日蓮ですが、幼いころから聡明で、12歳で清澄寺(当時は天台宗)で出家をして、21歳で比叡山延暦寺に登ります。

当時の比叡山は日本仏教の総合大学のような位置づけで、日本全国から学僧や修行僧が集まる場所でした。

日蓮は比叡山の他にも、鎌倉、奈良、京都、高野山など、さまざまな場所を巡って修行を重ねるうちに、法華経こそ最も衆生を救うことができる教えであることを確信します。

1253年、清澄寺で「南無妙法蓮華経」を唱え、立教開宗を宣言します。

しかしこれまでに聞いたことのない新しい教えに対して、多くの人は拒絶反応を起こし、日蓮は数々の迫害や弾圧に合います。

しかし、そうした風当りにもめげずに日蓮は布教活動を続けます。

当時の都であった鎌倉では辻説法(街頭に立って行きかう人々に演説を行う)をして、法華経の教えを重視しない他の宗派を痛烈に批判します。

浄土教を信じる者は無間地獄に落ち(念仏無間)、禅をするものには天魔がとりつき(禅天魔)、真言密教はこの国を滅ぼし(真言亡国)、真言律宗の福祉事業は国賊に他ならない(律国賊)と痛罵して、『法華経』の優位性を説きました。

1268年には『立正安国論』を時の執権北条時宗に奏上します。

一笑に付されるものの、その後、日蓮の予言通りに元が日本に攻め入ってきたこともあり(元寇)、日蓮を信奉する人が徐々に増えていきます。

最終的に日蓮は、身延山に久遠寺を建て、62歳で息を引き取ります。

その後は六大弟子が日蓮の意志を引き継ぎ、さまざまな分派を経て、その教えや存在感は現代にまで受け継がれています。

なお、1922年に大正天皇より「立正大師」の諡号が授けられています。

日蓮宗の葬儀・仏事

日蓮宗の葬儀や仏事は、どのように行われるのでしょうか。

日蓮宗の葬儀

日蓮宗の葬儀は故人を「霊山浄土」に送り出すために行われます。

日蓮宗には『法華経』を信じ、「南無妙法蓮華経」の題目を受持する者は、必ず霊山浄土に往詣(おうけい)できるとの教えがあります。

ちなみに霊山浄土とは、『法華経』の中でお釈迦様が教えを説いている霊鷲山(インドにある実在の山)にちなみ、未来永劫にわたってお釈迦様が説法を続けている浄土のことです。

●読経と唱題

日蓮宗の葬儀では、法華経の読経と、唱題(「南無妙法蓮華経」のお題目を唱えること)を中心に式典を進めていきます。

法華経は全部で28の章で構成されていますが、その中でも中心的な章段となる「方便品第二」と「如来寿量品第十六」がよく読まれます。

●授戒と引導

他の宗派と同様、葬儀式の中で授戒と引導の儀式が行われます。

僧侶は故人に、仏弟子として守るべき「戒」を、仏弟子としての名前である「戒名」を授けます。そして引導の儀式を執り行い、故人を仏の世界に送り出します。

●焼香

日蓮宗の焼香は3回です。これは、仏・法・僧それぞれにお香を供えるためです。お線香を立てる時も3本立てます。

日蓮宗の仏壇・仏具

次に、日蓮宗の仏壇仏具について解説いたします。

●本尊

日蓮宗の本尊は久遠実成の釈迦如来ですが、お仏壇には「法華曼荼羅」と呼ばれる掛け軸が掛けられます。

この中には『法華経』の中で語られるさまざまな仏さまや神々の名前が筆で書かれています。

そして向かって右に鬼子母神さま、向かって左に大黒天さまの掛け軸を掛けます。

●仏壇

日蓮宗の場合、紫檀や黒檀などの銘木を用いた「唐木仏壇」が多く見られます。

最近では、モダンな住宅にマッチした「家具調仏壇」も人気です。

●位牌

日蓮宗では戒名のことを「法号」と呼びます。

冠字には「妙法」の2字が、その下に、院号・道号・法号・位号が連なります。

(男性)妙法 ◇◇院 ◆◆ △△ 居士

(女性)妙法 ◇◇院 ◆◆ △△ 大姉

また、男性の場合は法号が「日△」、女性の場合は「妙△」となることもあります。

(男性)妙法 ◇◇院 ◆◆ 日△ 居士

(女性)妙法 ◇◇院 ◆◆ 妙△ 大姉

●数珠

日蓮宗の正式な数珠は、主玉108個を連ねた二重タイプです。2つある親玉から、房が2本出ている方と3本出ている方があるのが特徴です。

ただし、一般在家の人であればどの宗派でも使える略式の片手数珠でも構いません。

日蓮宗の家族葬は、広島自宅葬儀社にご相談下さい。

日蓮宗の教えや葬儀の内容について解説いたしました。

いざお葬式に臨む時も、宗派の教えや意味を知っておくことで、より深く亡き人と向き合うことができ、納得いくお葬式のためにも大切なこととなるでしょう。

日蓮宗の葬儀で分からないことや不安なことがある方は、まずは広島自宅葬儀社にご相談下さい。

どんなささいなことでも構いません。お客様の声に耳を傾け、親切丁寧に、アドバイスさせていただきます。

この記事を書いた人

廣田 篤  広島自宅葬儀社 代表

葬儀業界23年、広島自宅葬儀社代表。厚生労働省認定技能審査1級葬祭ディレクター。終活カウンセラー。前職大手葬儀社では担当者として 1500 件、責任者として1万件以上の葬儀に携わる。実母の在宅介護をきっかけに広島自宅葬儀社を立ち上げて現在に至る。広島市内だけでなく瀬戸内海に浮かぶ島々から、山間部の世羅町、神石高原町まで広島県内あらゆる地域の葬儀事情に精通する広島の葬儀のプロ。身内の死や介護の経験、数々の葬儀を通じての縁から「死」について考え、文章にすることをライフワークとしている。

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