葬祭扶助は生活保護を受けている方が安心して葬儀を行えるための制度

更新:2022.07.29

葬儀にはまとまった費用がかかってしまいますが、生活保護を受けている方の場合、国がその費用を負担してくれます。

喪主の費用負担は実質無料なので、安心して故人様を送り出せます。

ただし、一般的な葬儀とは異なる手続きを踏まなければなりませんし、葬儀内容にも制限があります。そのため…

「生活保護の葬儀をするためには何から始めたらよい?」

「質素なお葬式で、寂しくならない?」

「追加で自己負担しなければならないものはある?」

…といった疑問をお持ちの方も少なくありません。

この記事では、生活保護受給者の葬儀について、基本的な概要、費用、流れなどを親切丁寧に解説いたします。

国に支援してもらう葬儀だとしても、心を込めて故人様を送り出すことができます。

どうぞ最後まで読み進めてみて下さい。

生活保護の葬儀 基本的な概要

生活保護とは、病気や障害など、さまざまな理由で経済的に困窮する人に対して国が給付・支援を行う制度です。

日本国憲法第25条に「すべての国民は、健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有する」とあり、これを保障するために生活保護制度があります。

具体的にどのような給付や支援が行われているのか。生活保護には8種類の扶助があります。

■生活扶助(衣食住にまつわる生活費)

■教育扶助(義務教育にかかる費用)

■住宅扶助(家賃や必要な改修費用など)

■医療扶助(けがや病気の医療費)

■介護扶助(要介護者が受けられる介護サービス)

■出産扶助(出産に必要な費用)

■生業扶助(自立して働けるための費用)

■葬祭扶助(葬儀にかかる費用)

もしもお金がなくて困っていたとしても、生活保護を受給されている方であれば「文化的な最低限度の葬儀」を国が保証してくれるということに他なりません。

葬祭扶助制度とは?

葬祭扶助では、通夜や葬儀などのセレモニーを行わない火葬だけの「直葬」に対して、上限額の範囲内で費用が給付されます。

また、身寄りのない方で、喪主となるべき親族や関係者がおらず、第三者が葬儀をしなければならない時も、葬祭扶助制度が適用されることがあります。

ただし、気を付けなければならないのは、遺族や親族に火葬をするだけの経済力があると判断された場合、審査が通らずに費用の給付がなされないことがあります。

また、通夜や葬儀などのセレモニーをしてあげたいと希望する場合も、それは「最低限度」の範囲を超える形の葬儀となってしまいます。

そのため国からの給付はなく、喪主や遺族が費用負担をしなければなりません。

給付される葬儀費用はあくまで国民が納めた税金です。

「お金がない方の最低限の火葬費用は国民全体で支える。もしも家族や親戚でお金を出せるのであれば自分たちで負担しましょうね」という考えのもと、葬祭扶助が行われているのです。

葬祭扶助を受けるための条件

葬祭扶助を受けられるのは、次のいずれかのケースです。

1.喪主となる人が生活保護を受けている場合

葬儀をしたくてもお金がなく、すでに生活保護を受給している人の葬儀を支援します。

2.故人が生活保護受給者で、身寄りがなく、遺族や親族以外の人が葬儀を行う場合

故人様に身寄りがないために、第三者(知人や民生委員など)の方が葬儀をしなければならない場合、葬祭扶助が適用されることがあります。

給付金額

葬祭扶助の給付金額はいくらになるのでしょうか。

法律によって上限額が決められており、その範囲内で葬儀にかかった実費が給付されます。上限額は次の通りです(令和3年4月厚生労働省の資料による)。

・大人の場合:21万2,000円

・小人の場合:16万9,600円

給付金額は自治体や年度によって異なりますので、あらかじめ管轄の役所や福祉事務所に確認しておくと安心です。

広島県内の方であれば、私ども広島自宅葬儀社にご相談いただいても構いません。

もしも故人様がお金を残して亡くなった場合(遺留金)、まずはそこから葬儀費用が補填され、不足分に対して葬祭扶助として給付されます。

葬儀の内容

先ほどから触れている通り、約21万円の範囲内で行う葬儀なので、おのずと「直葬」となります。直葬とは、通夜や葬儀を執り行わずに火葬だけを行う葬儀のことです。

もちろん火葬をするためには、ただ火葬料金を支払えば済むものではありません。

ご遺体の搬送、お棺、ドライアイスなどが必要となります。

生活保護法では、次に挙げられる内容に対して扶助するものと定められています。

■検案

検案とは、医師の継続的な診察を受けずに死亡した場合の死因究明のための検査のことで、亡くなった人が必ず受けなければならない手続きです。

死体検案書が発行されなければ遺体は引き渡されませんし、火葬もできません。

葬祭扶助では、検案書作成に伴う費用を負担してくれます。

■遺体の運搬

遺体の搬送は主に2行程に分けられます。

ひとつは病院などの死亡地から自宅や安置所まで。

もうひとつは安置された場所から火葬場まで。これら搬送全般に対して扶助してくれます。

■火葬、埋葬

火葬料金または埋葬(土葬)するための費用です。

■納骨その他の葬祭に必要なもの

表現があいまいなため、自治体によって解釈が異なりますが、一般的に次のようなものが該当します。

・棺

・仏衣

・骨壺

・ドライアイス

・安置料

・ご遺体保全のための処置費用

・読経料

また、火葬後の遺骨の埋葬(納骨)に関して引き取り手がいない場合、自治体が公営霊園や提携の寺院の合葬墓に埋葬します。

ここまで、葬祭扶助の葬儀に含まれるものについてご理解いただけたかと思います。

では、具体的にどのような流れで進んでいくのか、次章で詳しく解説いたします。

生活保護の葬儀の流れ

この章では、生活保護受給者が葬儀を執り行う時の流れについて解説いたします。

福祉事務所へ連絡

葬祭扶助を希望する場合、まずは福祉事務所や担当の民生委員やケースワーカーに連絡します。

書類上の手続き、葬祭扶助適用の審査、葬儀社についてなどの指示があるので、それに従う形で動きます。

故人様が息を引き取ってから連絡しても構いませんが、もしも可能であれば生前のうちから葬祭扶助で葬儀をしたい旨を相談しておくとよいでしょう。

いざという時に慌てることがありませんし、葬祭扶助を受けられるかどうかを事前に把握できるからです。

葬祭扶助の申請・確認

葬祭扶助は、必ず葬儀を行う前に申請します。

葬儀を行った後に申請すると、葬祭扶助が受けられないこともあるので充分に気を付けましょう。

自治体側で申請者の経済状況などを審査し、給付要件を満たしていることが確認できたら、葬祭扶助が適用されます。

葬儀社に依頼

葬祭扶助の適用が決まったら、次に希望の葬儀社に連絡し、遺体の搬送を依頼しましょう。

広島自宅葬儀社にご連絡を頂ければ、速やかに福祉事務所の担当者と連絡を取り合い、故人様のお迎えに上がります。

安置・打合せ

ご自宅または安置所にご遺体を搬送、安置し、火葬の打ち合わせを行います。

火葬日程が決まったら、立ち合いを希望する親戚や関係者にも連絡しましょう。

火葬の執行

決められた日時に火葬場に集まり、故人様の最期を見届けます。

通夜や葬儀のようなセレモニーを行うことはできませんが、お別れ室で最後のお別れ、焼香などは可能です。

また、僧侶に数分程度の読経をいただくことも可能です。

火葬が終わると参列者で遺骨を拾い上げて、骨壺に納めます。

費用の支払い

お迎えから火葬までの一連の費用は、福祉事務所から葬儀社に直接支払われるため、遺族の費用負担は実質ゼロです。

ただし僧侶へのお布施、お花やお供え物、飲食などを手配した場合は自己負担となります。

生活保護の葬儀の注意点

生活保護の葬儀にはいくつかの注意点があります。

「生活保護を受けているから0円で葬儀ができる」と安易に考えないよう気を付けましょう。

必ず葬儀前に申請する

前の章でも触れましたが、必ず葬儀を行う前に福祉事務所の担当者に葬祭扶助の申請をしましょう。

審査の結果、遺族や親族の中で葬儀費用の支払い能力があると判断され、適用されない可能性もあるからです。

また、葬祭扶助の範囲を超えた葬儀を行なってしまった場合(通夜や葬儀の実施、棺のグレードアップなど)、喪主が費用負担しなければならないことも起こりえますので、充分に注意しましょう。

葬祭扶助が認められない場合

生活保護受給者であっても葬祭扶助が認められないケースもあります。

主に次の2つのケースが考えられます。

■故人に葬儀費用を賄えるだけの資産がある

葬祭扶助の上限額は約21万円ですが、故人様がそれをまかなえるだけの資産を持っていた場合は、公費で補填するのではなく、故人様の資産から葬儀費用を支払うべきものとされます。

■家族に葬儀費用の支払い能力がある

喪主となる人が生活保護を受けていたとしても、家族の中で葬儀費用の支払い能力があると判断された場合、葬祭扶助が認められないこともあります。

香典は受け取れるが香典返しは実費負担

生活保護を受けている人であっても、香典を受け取れますし、それを葬儀費用に充当しなくても構いません。ただし、頂いた香典に対しての香典返しをする場合は実費負担となります。

心を込めて送り出すために認められるオプション

葬祭扶助は、必要最低限の火葬が基本ですが、それでも心を込めて送り出すために多少の自己負担は構わないとされています。

たとえば、お棺の中にお花を納めたい方は葬儀社が切り花を用意しますし、きちんと供養して送り出したい場合も、火葬場で僧侶が読経をしてくれます。

こうした費用は自己負担となりますが、これらの支払い能力があるから葬祭扶助が給付されないことはまずありません。

とはいえ、解釈は自治体や担当者によって異なるため、多少の交渉が必要なケースもあります。

広島県内の方であれば広島自宅葬儀社にご相談ください。

生活保護受給者のご家族様が葬祭扶助を受けられた事例をご紹介

先日お手伝いさせていただいたあるご家族様の事例をご紹介させていただきます。

O市にお住まいのI様は、ご主人と奥様の二人暮らしで、ご主人がお亡くなりになられました。

「お金がない。今あるのはこれだけ。毎月1万円ずつ必ず支払うから、助けてほしい」

「大丈夫です。無理のない範囲で構いません。お金のことは後にして、今はご主人を送ることだけに専念しましょう。」

葬儀を行うにも金銭的余裕はなく、どのような葬儀をしたら良いのか、これからどうしたら良いのか、奥様はご不安な様子でした。

葬儀の打ち合わせ途中で、本籍地を尋ねると故郷は別の場所であったこと、その場所が豪雨災害で被災し、数年前から生活保護を受けながら今の場所で生活されていたことを知りました。

葬祭扶助が適用される条件を満たしている世帯でしたが、ご遺族様はその制度の存在をご存知でなかったのです。

私はすぐに制度のご紹介をさせていただきました。

本来、葬儀前に葬祭扶助の申請をするべきですが、その日は土曜日、市役所は閉まっています。

事後になりますが、葬儀を終えて月曜日に葬祭扶助の申請を行いましょうとアドバイスさせていただき、日曜日に規定の範囲内で葬儀を行い、月曜日に申請手続きを行いました。

審査の結果は、無事に承認されて、奥様は葬儀費用を負担することなく、葬儀を終えることができました。

当初、金銭的なことに頭を悩ませていた奥様も安堵され、感謝のお言葉をいただきました。

このように事後申請でも認められるケースもありますが、基本的には「事前に相談」がルールです。

今回この記事を書かせていただいたのは、I様のように制度の存在を知らずにご不安な日々を過ごしている方は、まだ他にもいらっしゃるかもしれない。

葬祭扶助の制度を広く知っていただくために執筆いたしました。

生活保護の葬儀の経験豊富な葬儀社選びを

これまで見てきたように、生活保護受給者が葬儀を執り行う場合、通常とは異なる特殊な流れや手続き、制約があります。

そんな中でも心のこもったお見送りをするためには、経験豊富な葬儀社選びが大切です。

広島県にお住まいの方で、生活保護の葬儀をお考えの方は、どうぞ広島自宅葬儀社にお任せ下さい。

豊富な経験と高い専門性を持って関係各所と緊密な連携をとり、一方で、不安な思いをされるご家族に寄り添いながら、心温まるご葬儀のお手伝いをして参りますので、まずはお気軽に、お電話、メールなどでご相談ください。

この記事が、お金のことで不安に思っているあなたの心が少しでも和らぎますように。

そして大切な方の最期を、心を込めて送り出す、その一助となりますように。

この記事を書いた人

廣田 篤  広島自宅葬儀社 代表

葬儀業界20年、厚生労働省技能審査1級葬祭ディレクター。終活カウンセラー。大手冠婚葬祭互助会で通算1,500件の葬儀を担当。家族の在宅介護がきっかけで広島自宅葬儀社を設立。身内の死や介護の経験、数々の葬儀を通じての縁から「死」について考え、文章にすることをライフワークとしている。

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